内容説明
アダルトチルドレン、買い物依存症、燃え尽き症候群…心の不調を感じたら専門家のカウンセリングを受けるのが常識といわれる。しかし、その常識、ちょっと待っていただきたい。あなたは“心理学業界”の術中に陥ってはいないか。「心理療法にはおまじない以上の効き目はない」と喝破し、“業界”から目の敵にされた著者の問題の書。
目次
第1部 「影響力」のウソ(心理療法;教育 ほか)
第2部 「心」のウソ(無意識;自己認識 ほか)
第3部 「意識」のウソ(瞑想;催眠 ほか)
第4部 「脳」のウソ(一〇パーセント神話;右脳と左脳)
著者等紹介
デーゲン,ロルフ[デーゲン,ロルフ][Degen,Rolf]
1953年生まれ。科学ジャーナリスト。「ツァイト」紙や「フランクフルター・アルゲマイネ」紙、科学雑誌「ビルト・デア・ヴィッセンシャフト」などに寄稿。その活動に対し、ドイツ心理学会から科学出版賞を受賞
赤根洋子[アカネヨウコ]
1958年生まれ。早稲田大学大学院修士課程(独文学)修了。独語翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
72
原書2000年発行のドイツ人科学ジャーナリストによる科学読み物。フロイト理論のみではなく、俗流心理学や人間の精神などの常識とされる事柄を覆す実証心理学研究や調査結果を例示していく。心理療法などへの批判があり、サイコセラピストの効果は、親友と相談するのと同じぐらいの効果しかないなどのような言い回しが面白く感じた。通説になっている、右脳左脳の違いや脳は10%しか使われないうんぬんや、子供の教育や境遇などの検証など話題は実に豊富。少し古いと思うが多数の類書を読むぐらいならこれを押さえておくと確実。良書。2018/04/18
ステビア
8
かなり執拗な(笑)通俗心理学批判。痛快だがちょっと疲れた。2014/02/27
中島直人
6
訳者も言う通り、マスメディアや教育については言い過ぎ?根拠弱い?と感じる部分もあったが、主旨には激しく共感した。論者の思いつきとしか思えない、いい加減な主張が薄弱な根拠、捏造された証拠で流布されてしまうことに空恐ろしさを感じた。心療内科的な治療の必要性は高まっていると感じており、業界の早急な健全化が期待される。2014/05/07
かんちゃん
4
エセ科学に関する批判本。心理学や精神療法に関するエビデンスの脆弱さを述べていくが、その割に遺伝の影響に関してだけかなり踏み込んだ肯定をしているのがやや気になった。他方、全体を通して見ると、「人間は思っているよりずっと奥深いもの」「人間の自然の回復力は思っているより強い」という人間礼賛なところも感じられる。2023/10/05
aoiro
4
心理学の入り口はフロイトだったし、日本ではそんな本が溢れている。でも、心は目に見えないもの。ほんの100年余り前の話。フロイトありきで学んだからといって、それだけを信じほかを知らないってのもどうかなぁと、バランスをとりたく手にした本。中身は、フロイトの主張に対してある学者の研究結果により反論している。少し浅い気もするが、アンチフロイトの考えを知る入門編としてはいいかな。再読して、自分なりに吟味し、ほかの主張されている人々の話も読みたい。フロイトだけじゃなく本人の臨床結果に基づく仮説なんだよなぁ。2014/09/23