内容説明
1996年5月、日本人の難波康子さんをふくむ12人の死者を出す遭難事故が、エヴェレストで発生した。雑誌のレポーターとしていわゆる「ガイド登山隊」の実態をルポするためこの登山隊に参加、たまたま事故の当事者となり奇跡的生還を果たした著者が、徹底取材をして著した遭難記録とエヴェレスト登山の最新事情。世界的ベストセラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
132
1996年のエベレスト遭難事故のノンフィクション。登場する日本人の難波さんは、当時、入社したときにお世話になった人事部担当の方。6大陸の最高峰を制覇し、あとエベレストだけでもうすぐ出発と話していた。休み時間は霞ヶ関ビルまで行って、階段を登る練習をして鍛えていた。私は出張先で登頂成功を聞き、同じ会社の社員として誇らしい気持ちになったが、帰宅したところ遭難との悲報。なんともやるせなく悲しかった。この本には難波さんの様子が描かれていて、不思議な感じ。最後の描写は涙なしには読めない。2017/09/27
goro@the_booby
56
文春版で再読。ヤマケイ版とは違い数点写真が載ってるのでよりイメージしやすい。また各章扉に木版画がありゴツゴツした感じがこの惨劇となった登山を表しているようです。生き残れたジャーナリストとして何が起こっていたのかを誠実に描写されてると思うし、後悔、苦悩も書き込み真に迫るな。この旅が商業登山であった事も要因の一つだろうし、デスゾーンのなかで暴風雪に見舞われた事も大きかった。今まで読んだ中でもとてもお気に入りの山岳ノンフィクション。次は同じく重症を負い帰還したベック・ウェザーズ「零下51度からの生還」読みます。2021/08/13
ゆずこまめ
13
ただただ壮絶、山は怖い。命の危険があるから登山は素晴らしいのだという著者。命の危険があっても登るのではなく、だからこそ登る。私の理解を越える世界です。2015/02/01
フクミミ
11
今まで読んだ山岳小説やノンフィクションはどれも本格的なアルピニスト目線だったのですが、この本は参加者目線で見た山の様子や気候、心理状態がとてもリアルで、その分過酷さが息苦しい程でした。助からないと判断され、吹雪の中置き去りにされた人が一命を取り留めたり、人の生命力の強さに驚きもありました。 天候が良い時は当然全ての人達が頂上をめざす事になるので、いずれまた同じ事故が起こりうる可能性もあります。公募登山の問題点でしょう。2014/05/25
moe
8
このところ何冊か山岳遭難ドキュメントを読んでいますが、この本は秀逸です。ここまで丁寧に取材し、鋭く考察した本はなかったと思います。エヴェレストに登りたい顧客を集めガイドする営業遠征隊のルポを書くために作者自身が参加し、事故の当事者となってから、関係者にインタビューして回り、自分自身の思い込みによる間違いもすべて正直に語っています。それにしても、山の厳しさ…全くの素人の自分でさえ戦慄を覚えずにはいられませんでした。2011/01/25
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