出版社内容情報
総裁選の内幕、莫大な遺産をめぐるカジノの一夜、競馬場の老人が握る幾多の運命。浅田次郎の自在な語り口に酔う、贅沢な短篇集。
内容説明
ロンドンの超高級カジノの一夜は夢のように過ぎた―。大資産と才気、家柄、すべてを持った青年の驚愕の告白とは。総裁選の真実、大馬主が体験した運命の勝負、そしてアメリカ人退役軍人たちの「もう一つの戦い」。金と名誉を得た者だけが味わう甘美と戦慄を、浅田次郎が精緻に織り上げた傑作短編集。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951(昭和26)年、東京生まれ。著書に「地下鉄(メトロ)に乗って」(第16回吉川英治文学新人賞)「鉄道員(ぽっぽや)」(第117回直木賞)「壬生義士伝」(第13回柴田錬三郎賞)「お腹召しませ」(第1回中央公論文芸賞、第10回司馬遼太郎賞)「中原の虹」(第42回吉川英治文学賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
159
有川さんのエッセイで紹介されていた作品であとがきも書いています。夜ごとに各界の名士が集い、秘密の話を打ち明ける「沙高樓(さこうろう)」での話、4編を収録した短編集です。有川さんがオススメしていたトリを飾る話『星条旗よ、永遠なれ』がぶっちギリでキテます。要は退役軍人のジイサン、三人による超くだらない下ネタなんですが、不思議とオトコのロマンすら感じてしまいます。話してる内容は中学生レベルなんですが、そこにオトコのなんともいえない悲哀が伝わります。「アホだなぁ、このジイサンたち」と他人事ではなくなるのかな。2019/12/28
i-miya
80
2014.02.13(02/13)(初読)浅田次郎著。 (カバー) ロンドン、超高級カジノの一夜、大資産、才気、家柄すべて持った青年、驚愕の告白とは? 総裁選の真実、大馬主が体験した運命の勝負。 アメリカ人退役軍人たちのもう一つの戦いとは? 金と名誉を得たものだけが味わう甘美と戦慄。 (浅田次郎) 1951(S26)、東京生まれ。 (解説=有川浩) 触れるものみな王道に。勇気を出していう、「星条旗よ永遠なれ」が一番好きだ。 夜毎名士が集まって秘密の話を披露する。 2014/02/13
かんらんしゃ🎡
60
最後の編だけはアメリカ人の話で毛色が違うが、他3編は運が人生を左右する。ギャンブル好きの浅田氏らしい人生観だし、あるいは日本ならではの不可思議なものの力を働かせているのかもしれない。そうだとしてもそれもまた氏らしい作品。2018/09/27
崩紫サロメ
47
沙高樓綺譚の続編。前作同様、女装の主人の主催するサロンでの打ち明け話。財閥三代目のロンドンのカジノでの話「終身名誉会員」を読んでいて、ふと『天子蒙塵』の張学良とイメージが被った。こちらの方が少し先か。同じ作者の好きな系統の作品に出会うと何か嬉しい。しかしこの短編はちゃんとどんでん返しがあった。「草原からの使者」、従順であるが従属しない馬という生き物、競馬に関わるものが感じる「神秘」の話。相変わらず女装の主人のことは謎。かなり空いているが続編はあるのだろうか?2022/11/22
タツ フカガワ
39
南青山の高層ビルの最上階で各界の名士が集って奇譚を聴く会がある。その奇譚とは自分の名誉のため、または命のため、そして世界の平和と秩序のためにこれまで口を閉ざしていたある体験談のこと。全4話どれも読ませますが、昭和48年、10戦全勝で臨んだハイセイコーの日本ダービーを絡めて語られる相続話の顛末(表題作)が面白かった。本書は続編のようで近々正編をと思っています。2020/06/15