内容説明
文久三年八月。「みぶろ」と呼ばれる壬生浪士組は、近藤勇ら試衛館派と、芹沢鴨の水戸派の対立を深めていた。土方歳三を慕う島原の芸妓・糸里は、姉のような存在である輪違屋の音羽太夫を芹沢に殺され、浪士たちの内部抗争に巻き込まれていく。「壬生義士伝」に続き、新選組の“闇”=芹沢鴨暗殺事件の謎に迫る心理サスペンス。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951(昭和26)年、東京生まれ。著書に「地下鉄(メトロ)に乗って」(第16回吉川英治文学新人賞)、「鉄道員(ぽっぽや)」(第117回直木賞)、「壬生義士伝」(第13回柴田錬三郎賞)、「お腹召しませ」(第1回中央公論文芸賞、第10回司馬遼太郎賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
226
浅田次郎さんの新選組三部作。「みぶろ」と呼ばれていた新選組の勃興期。島原の糸里、吉栄、芹沢鴨の愛人・お梅らの視点で描かれる物語。新選組と言えば司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」で描かれたイメージが強い。本作で描かれる芹沢鴨の傑物振りは新鮮。芹沢派の平山五郎も新鮮。吉栄と平山の苦しい恋。予想もしない平山の優しさ。そして土方歳三の冷徹さに驚く。芹沢、土方、糸里の三人での会食でのまさかの申し出。土方の事を想い、その申し出を受ける糸里にの哀しさ。上巻のラストでの糸里の誰も殺さない為の行動にやるせなくなる。下巻に期待大。2017/11/04
ehirano1
185
「糸ちゃん」、この響きが可愛くて仕方がないです。上巻では島原傾城の作法や矜(ほこり)が印象に残りました。2021/11/17
mariya926
161
あぁ、この本で年越しなんだと思いつつ読みました。最近は夜しか読書できなく、ペースを掴めないので選べませんでした。次の太夫と言われている糸里の目線で新選組ついて見えますが、作者が違うとキャラもガラッと変わるのが面白いですね。新選組についてはまだあまり読んでいないのでよく分からないですが、これはこれでなかなか面白いです。それにしても男って…。「要らぬ苦労をするとな、しまいには誰もがいい人になる」この言葉にはあまり納得できませんでしたが…。まだ純情な糸里が人間の様々な面を見るにつれどう変わっていくかが楽しみです2021/01/01
文庫フリーク@灯れ松明の火
113
新撰組は作家さんにより表情を変える。同じ作家さんでも誰をメインにするかでがらりと別の顔。芹沢鴨が不器用な漢に見えてしまう不思議。武芸者が無防備を戒めるひとつが房事。褥を共にする女性目線を入れた新撰組。糸里より平間・吉栄の独白部分に惹かれてしまう。芹沢もそうだが、土方が戦国時代に生まれたなら、美濃の蝮となることもできたろうに。さらに気になる異形の存在が斎藤一。芸妓糸里が平間の胸に抱かれ、見えもせぬ青空を見るラストは、近目の糸里が抱きすくめられメガネの玉を通して見た風景。抱きすくめた土方歳三はいない。2011/03/04
あも
110
浅田次郎が送る新選組3部作第2弾。ちょっと嘘やろ、ってぐらい頁をめくる手が進まない…。それもその筈、向き合うスタンスを間違えていた。この本は新選組の話ではない。近藤勇も土方歳三も芹沢鴨も出てくるが、これはあくまで女達の物語。福井の漁村から京の置屋に売られ、芸妓となった糸里。芹沢に手籠めにされ愛人となったお梅。芹沢の子分を愛する吉栄。新選組の面々に家屋敷を無償提供し世話をする壬生住人の奥様方。彼女らの視点から見る幕末のヒーローは、どこまでも愚かで憎らしい。土方がえげつないぐらいのクズで読んでて辛いが下巻へ。2018/10/02
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