内容説明
修道院を離れ、赤羽たちが共同生活をおくる「悠久寮」に身を寄せる教子。数々の奇蹟によって集団を虜にする朧の息子・太郎は、五歳とは思えぬ言辞で教子を翻弄、やがて彼女は太郎に「神」を直観するに至る。ミュージシャンになったジャンと新たな一歩を踏み出した教子は―。危うい予兆に満ちた『王国記』シリーズ第六弾。
著者等紹介
花村萬月[ハナムラマンゲツ]
1955年東京生まれ。中学を卒業後、オートバイで日本全国を放浪し、様々な職業に就く。1989年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞し、小説家としてデビュー。1998年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、『ゲルマニウムの夜』(『王国記』シリーズ第一弾)で第119回芥川賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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James Hayashi
26
シリーズもの第6弾。芸術性と文学を感じた『ゲルマニウムの夜』とほぼ登場人物は同じ。手元にないため2から5巻は省いたが筋は問題なく読める。ただ面白さ、意外性などほとんど感じられない。マニアック性も弱い。2020/12/06
Tメタル
4
花村氏の十八番、シャブネタと音楽ネタが出てきて物語もいよいよ佳境か。「目眩く」の最後の描写が良かった。マグダラのマリアである百合香の代わりに今度は教子が目眩地獄と対峙する。王国建設の為に。太郎の意図か、それとも他の大いなる意思によるものか?この意思の存在の出所が物語のカギになるのだろう。「午後の磔刑」では宇川君の妄想的純愛が微笑ましかった。これも原罪?2015/03/04
OMO
2
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2021/08/19
ちゆき
2
朧さんと仔牛のやり取り萌え♡2016/07/06
ひつじねこ
2
「目眩く」教子「午後の磔刑」朧。相変わらず人物に一貫性を感じないものの、「目眩く」での教子と百合香の会話が良い。潔い痴女と穢れた聖女。教子が己の無関心と浅さを自覚するさまに限界を感じた。ぬるま湯で出来上がった人の言動や性質は自覚したとしても変えられない。どうしても変えたければ苛烈な環境に飛び込んでがむしゃらに動かねばならない。もしくは強烈なヴィジョンに根本を揺るがされるかだ。そこで出てくるのが太郎か。悠久寮のコミューン化と言い、いよいよ宗教じみてきた。王国の建設を具体化するにはそうせざるをえないのか。2014/07/19