出版社内容情報
「髪結い伊三次」シリーズで人気の女流作家が、初めて素顔を明かしたエッセイ集。一人三役をこなす多忙にして愉快な日々が綴られる。
内容説明
台所の片隅で小説を書きながら、夕食の支度が気になる私。大工の亭主は今日も汗まみれで帰ってくるだろう。育ち盛りの息子は私の原稿料で大学へ行かせてやらねばなるまい。家も持たず車も持たず、高価な服も宝石もいらない。そう、私は作家であるまえに、主婦なのだ―。人気時代小説作家が綴る、つましくもほがらかな心の日記。
目次
第1章 台所の片隅で
第2章 ただいま執筆中
第3章 日々徒然
第4章 心の迷走
第5章 今日も今日とて
第6章 函館暮らし
第7章 読書三昧
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
昭和24(1949)年北海道函館市生まれ。函館大谷女子短期大学卒業。函館在住。平成7(1995)年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、『余寒の雪』で中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
129
【辛口御免】宇江佐さん亡くなったばかりで、我ながら空気読めなさ感100%で申し訳ないです。エッセイを読んで、その作家さん(作品を含む)を改めて大好きになる場合と、そうでない場合があります。この作品に関しては残念ながら、後者。強いながらも優しさに充ち満ちた作品をたくさん残された宇江佐さん、とは違う一面をエッセイの行間に読み取ってしまった。作品はもちろん、これからも愛していきます...。2015/12/06
ふじさん
92
台所の片隅で小説を書き、毎日家族の食事の支度をし、大工をしている夫と離婚もせず、築百年経っている古民家に住み、二人の息子を生み育てた人気の女流時代小説作家が綴る初エッセイ集。宇江佐真理の素顔は、洋服はバーゲンオンリー、ブランドバックは持たない等、高価な服や宝石には興味なし、まさに人気作家である前に、主婦なのだ。自身の作品に対する思い、故郷の函館に対する強い思い、強い影響を受けた作家の作品や人柄に対する思いが伝わるエッセイ。彼女の人間性が良く出た語り口が心地よい1冊。2023/06/29
kei302
62
わが家に来て「書斎はどこですか」と真顔で訊く馬鹿者がいる。あるか、そんなもん。お文姐さんの生みの親の宇江佐さん、さすがです。自分の新作について、「なに? また、うたかた作品かって? ああ、そうともさ。立派なうたかた作品である」いえいえ、残ってますよお~。 しゃきっしゃきのキレのよさ。宇江佐さんのエッセイ集。伊三次シリーズのラストは、伊三次の死で終わるつもりだったとのこと。驚いたけど、それはそれで、読んでみたかったかも…残念です。2022/02/24
文庫フリーク@灯れ松明の火
43
文庫で作家買いしている宇江佐真理さん・ここ10年のエッセイ集。野球部の息子・大工の亭主の洗濯に追われ、来客あるとなればトイレ掃除に駆り立てられ、座布団カバーを交換し、疲労困憊するほど整理清掃。見苦しい物はすべて奥に移動して、お客の帰った後に元に戻さねば寝る場所も無い。書斎と呼ばれる場所は台所の冷蔵庫脇の机。午後はスーパーで夕食の買い物。長男の大学進学でかかる入学金・仕送りに震えがくるほどの決心で、自分を叱咤激励する遅いデビューの新人【主婦】作家・宇江佐さん。かざりではない庶民感覚が作品の魅力に→続2010/09/15
じいじ
29
ご自身を語ったエッセイ。とにかく面白過ぎる。売れっ子作家の矜持をひけらかすこともなく、謙虚な物腰が何とも魅力的。失礼ながら、親戚のおばさんというイメージだ。さて、本作は宇江佐さんの「素」を「地」をすべてさらけ出しているように見える。何事も独学、ワープロも、レース編みも、小説の書き方まで。気持ちを落ち着けるため般若心経を暗記、「命の母」と「般若心経」が更年期の特効薬・・・には笑った。歯に衣着せぬ物言いは田辺聖子ばりだ。因みに、愛読書が田辺聖子の『しんこ細工の猿や雉』で頷けた。楽しめるエッセイに間違いなし。2014/11/13
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