出版社内容情報
加賀前田の支藩、大聖寺七万石に幕命下る。厳冬の北アルプスを越え、高山陣屋の接収に向かった藩士たちの運命は。表題作など五篇
内容説明
加賀前田の支藩、大聖寺七万石に下された非情の幕命。厳冬の北アルプスを越えて高山陣屋と故城の接収に向かった生駒弥八郎以下二十四名の運命は…。表題作ほか、勇将福島正則の一代記「絶塵の将」、お役目も家も捨て狡猾きわまる悪党を追う同心の執念を描く「けだもの」など全五篇を収録した珠玉の短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちばと~る
18
改易となった隣藩の受城。隣とはいえ厳冬期に白山を超えての地獄の雪中行軍を強いられた大聖寺藩の物語。寒い!寒すぎる〜。冬に読むのはオススメしません。その他、福島正則や茶屋四郎次郎、荒木又右衛門を描いた短編もあります。ラストの江戸町奉行所の凄腕同心を描いた一編も読み応えあり!2016/12/14
renren
2
老中の「ちょっとした嫌がらせ」が原因で、自分の許婚を奪った藩主のため〈士道のため〉に命懸けで「八甲田山」ばりの雪中行軍に臨む表題作。「けだもの」は圧巻、裁判に関わる人には是非読んでほしい。「法」ゆえに悪でない父が流刑になったことから悪人になり法を嘲る男、その悪人が冤罪を着せて逃げ延びたことが許せず悪人が利用した「法の穴」を利用して彼を罰しようとする執念の男。契機はお上(権力=法)の自己保身、そして悪の報いで、あるいはめぐり合わせただけで不幸になる人々。誰一人幸福にならない。考えさせられる…。2010/09/14
hikarunoir
1
大変そうな話ではある。
タンク
0
天狗党北上や八甲田にもひけを取らない、冬の北アルプス越え。それもあまりに理不尽な幕命によるものでした。そこから5篇をわずか2夜で読了、いずれも中身が濃くってねえ。思わぬ因果を炙り出す独特の視点と、時々やたらポップになる言葉選びがとても魅力的でした。「おれも、おまえも」が特に好みだったかな。最後の「けだもの」は山風みも感じました。解説にあった司馬さんへの思い、作品の中で敬意も挑戦も色々感じられてとても清々しく感じました。2025/02/09
minu tanu
0
表題作は八甲田山死の彷徨を思わせる良作。「おれも、おまえも」は池宮史観による徳川家康ものでこれも面白かったです。ただ中編の「けだもの」はヒドイです。2020/08/29