内容説明
策謀蠢く戦国の世に、それでも自らの矜持を貫いた男たちを描く傑作小説集!黒田官兵衛の陰謀に散った九州の名門、城井一族の最期、キリシタン大名として知られる大友宗麟、知られざる父親との確執。生涯不犯を通して子を生さなかった上杉謙信の壮絶な跡目争い。もはや信じられるのは、おのれ一人なのか…。
著者等紹介
高橋直樹[タカハシナオキ]
1960年、東京都生まれ。92年「尼子悲話」(『闇の松明』に収録)でオール読物新人賞を受賞。97年に『鎌倉擾乱』で中山義秀文学賞を受賞するなど、本格的な歴史作家として活躍している
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
6
大友の二階崩れの変を目当てに読みましたが、それ以外には豊前の城井一族と上杉の御館の乱の3編が収録されている。上杉景勝がこんなに感情豊か(マイナス方向だが)なのも珍しいなあと思いつつ、タイトル通り謙信の影に怯えつつ、利用することで豹変する姿は良かった。二階崩れは父である義鑑は想像以上にひどかった。城井一族は一所懸命に働いたのに黒田官兵衛の謀略で栄転という名で追い出される羽目に。悲しいなあ。2016/10/13
あっき
2
戦国時代短編三作。御館の乱の話が目当てで他の二作には全く興味なかったのですが、高橋直樹さんの本だしせっかくだからと読んでみたところ、三作ともすごく面白かった!薄暗い雰囲気がとても好き。2019/07/16
北之庄
2
有名なお家騒動の大友二階崩れと御館の乱、豊前の宇都宮氏滅亡の三編から成る作品。寡聞にして初めての高橋直樹作品、地味めなテーマですが、中々読ませます。三家とも其々伝統と格式高い武家であるが故の烈しい内訌は目を覆うばかり。中でも天下平定を進める秀吉に一族国人衆の不和を突かれ、滅亡に至った宇都宮一門はほんに哀れ。NHK大河で市民権を得る以前の作品故、奸智を巡らせる官兵衛の憎々しいこと。加えてゴロツキまがいの者ばかりの黒田家臣は、出身地の播磨の気風の所為と喝破する作者に、兵庫県民として一抹の寂しさを感じた次第。ち2019/05/24
韓信
1
黒田如水の陰謀で滅びた城井一族の最期「城井一族の殉節」、二階崩れの変を描く「大友二階崩れ」、御館の乱を描く「不識庵謙信の影」を収録する戦国短編小説集。いずれも人物造形が巧みで、とくに狷介な若殿だったが父君暗殺の陰謀劇のなかで非情な大名としての大器を完成させる大友宗麟と、不器用で謙信の後継の任に耐えなかったが、御館の乱を経てゴッドファーザーのマイケルのように変貌していく上杉景勝が非常に巧く描かれており圧巻(両者似たような構図だが)。城井一族もネタが新鮮なうえに、感情移入しやすいキャラ造形なだけに最期が痛切。2025/10/15
ギズモ。
1
「不識庵謙信の影」三郎派としては与六(兼続)はやっぱり好きになれない😞4月29日に鮫ヶ尾城跡で景虎法要があるんだけど、行きたいな😩 三郎の首はどこにあるんでしょう?2025/04/25