内容説明
産婆のオバァのまじないによって姿を見えなくされてしまった愛する息子。末婚の母、津奈美は命をかけて井戸に飛び込み、“陰”の世界へと向かう。他の人間にかけられた「七つの願い」を奪うことで、息子の姿を取り戻すのだ…。美しい島の自然を背景に、若き母親の一途で壮絶な愛を描いた、ファンタジーの傑作。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970(昭和45)年那覇市生まれ。早稲田大学在学中の94年『バガージマヌパナス』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。98年『風車祭』が直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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miroku
12
母親の愛情。盲目的で犠牲を厭わない強すぎる想い・・・、それが切なくもあり温かくもある。2010/11/23
くまたす
9
★★★★★産婆のオバアのまじないにより、姿が見えなくなってしまった裕司。未婚の母・津奈美は息子のまじないを解くため、「赤子にかけられた母の七つの願い」を取り戻すことに。夜毎に陰の世界の者となり、願いをかけられた子供を探しに島を駆け回る。息子を愛する母親の壮大な冒険ファンタジー。津奈美の裕司に対する命がけの愛がまぶしい。コメディのようにテンポよくサクサク読める。働き者の豆腐屋母子、空想少女の千佳子やその母、破天荒な亡きオバアなど、キャラクターは強烈。前半は笑いながら楽しめるけど、後半に進むにつれ切なかった。2019/10/27
眠る山猫屋
8
舐めてました猛省!前半、若干の読みにくさを覚えたものの、中盤以降は津奈美の勢いのままに一気読み! 産婆のオバァの気まぐれな呪いで姿が見えなくなってしまった子供を救うため、他者の大切な願い事を盗む決意をする津奈美。前半はそれでもご都合主義な展開に救われますが、後半は他者を不幸にする自身の行為とのジレンマに。それでも。許されざる罪全て背負ってでも子供を守る決意をする津奈美に、やっぱり揺さぶられてしまいます。2012/05/13
ティ
8
恐ろしいまでの母親の愛でした。井戸の神様との取引きや陰の世界の描写が好きです。2011/09/27
poke
7
オバァのまじないの内容に、電車の中なのに吹き出してしまいました・笑 おもしろすぎる。けれど全体としては、エゴに限りなく近い母親の愛情に、ちょっと辟易してしまいました。2010/09/15