文春文庫<br> 秋の花火

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文春文庫
秋の花火

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  • サイズ 文庫判/ページ数 349p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167605094
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

彼の抱えた悲しみが、今、私の皮膚に伝わり、体の奥深くに染み込んできた―。人生の秋を迎えた中年の男と女が、生と死を見すえつつ、深く静かに心を通わせる。閉塞した日常に訪れる転機を、繊細な筆致で描く短篇集。表題作のほか、「観覧車」「ソリスト」「灯油の尽きるとき」「戦争の鴨たち」を収録。

著者等紹介

篠田節子[シノダセツコ]
1955(昭和30)年、東京都生まれ。東京学芸大学卒業後、八王子市役所に勤務、90年「絹の変容」で第3回小説すばる新人賞を受賞し、作家活動に入る。97年には「ゴサインタン―神の座―」で第10回山本周五郎賞、続いて「女たちのジハード」で第117回直木賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

352
5つの短篇を収録。それぞれは全く独立した作品だが、「ソリスト」と「秋の花火」は、音楽家を主人公にした篠原節子さんにとっては自家薬籠中のもの。さすがに冴えている。天才ピアニストの芸術家としての苦悩と、過酷な現代史を生きたアンナを描いた「ソリスト」。指揮者、音楽指導者として卓越した能力を持つ清水を主人公としつつ、実は第2ヴァイオリンの「私」を描いた表題作。また、介護の実態をこれでもかと描き出し、女の置かれた位置と男の身勝手、無関心をえぐり出した「灯油の尽きるとき」。他の2篇はコミカルなタッチと実に変幻自在。2018/10/16

じいじ

117
3作目の篠田節子だが癖になりそうです。作品の幅の広さ(ホラー、ミステリー、恋愛小説…)と筆力の巧みさが魅力的。特に、執筆にあたっては緻密に計算された構想図に基づいて描かれている気がする。本作は5編それぞれ趣の違った短篇構成。お気に入りは【灯油の尽きるとき】。老いた義母の介護に疲労困憊の主婦が主人公。切なく辛い話なのに読む手が止められない。或る日、「運命の出会い」が訪れる。許されるべき男との出会いが…。この作家、微妙に揺れ動く女ごころの描写が巧すぎます。予想を覆す結末も見事だ。篠田節子は力強い作家ですね。2017/05/16

Take@磨穿鉄靴

67
安定の篠田氏。好み。短編集。五編。「灯油の尽きるとき」が特に良くてこれは長編にも出来る内容。介護についてそれに携わる昌美の心境、肉体的精神的な厳しさやそれ以外の昌美の個人的な人生の幸せや安らぎなどもっと読みたいと思った。「観覧車」も楽しめた。飛び抜けて面白い訳でも無いけどこういう良質な短編集をもっと読みたい。★★★☆☆2019/08/09

はつばあば

55
人生の秋どころか冬を迎えようとしている私に、まだまだ甘いよって「ソリスト」は囁く。「灯油の尽きる時」に至っては嫁姑の本音の部分・・そこまで看てくれる娘が、嫁がいるだろうか。現代の少子化で、若い人達でさえ一人で死を迎える準備ができているように思える。それに引き換えなんと女々しい事・・まだ娘に頼ろうとしている不甲斐ない私( ;∀;)2017/09/28

かんらんしゃ🎡

53
★新聞でもおせち予約の広告を見るようになってきた。何年か前にネット注文のスカスカおせちのニュースがあって、ひどい奴らがいると憤慨したもんだ。しかしまあ本でもだいぶモッた帯を巻いてたりするから他業界の事も言えないが。★これは短編だけどどれもしっかり描かれている。長編を読んだような充実感だ。甘辛やピリ辛の味が十分に浸み込んでいて、ぎっしり詰まった最高級おせちと言える。短編の宝石箱やー\(。・_・。)/  2018/10/06

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