内容説明
バカンス先で内乱が発生し、虐殺を逃れた真央子、祝子、ありさがたどりついたのは、山間の小さな村、テンバヤン。そこは異なる宗教、異なる価値観のせめぎあう異文化接触地点だった。村人は真央子たちをかくまいつつ、「解放」と称して略奪、支配を強めるゲリラと対決する。彼女たちは無事、日本へ帰れるのか。
著者等紹介
篠田節子[シノダセツコ]
1955(昭和30)年、東京都生まれ。東京学芸大学卒業後、八王子市役所に勤務、90年「絹の変容」で第3回小説すばる新人賞を受賞し、作家活動に入る。97年には「ゴサインタン―神の座」で第10回山本周五郎賞、続いて「女たちのジハード」で第117回直木賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
350
結末は一応納得のいくものだった。ただし、やや強引な力技で終結したとの感も否めないが。まあ、あんな風にでもしないといつまでも幕が引けないだろうとは思う。上下巻を通しては、3人の女性たちのキャラクター設定の住み分け(描き分け)がなかなかに秀逸だ。自分を当てはめれば、一番近そうなのは祝子だろうか。もちろん、私は御曹司ではないのだけれど、性格や行動がということである。でも、あんなにきっぱり決然と使命感には燃えられないかな。篠田節子さんの想像力は存分に楽しめたが、長いせいか、やや冗長な感がしないでもない。2019/02/12
ミカママ
277
上下巻合わせると、表紙の装丁がとても素敵だ。中盤から続いた、コンタクトゾーンで暮らさざるを得なくなった東京からの旅行者OL3人、という設定にハラハラドキドキさせられる。こういうモチーフは、篠田さんのライフワークなのだろうか、読み手に東南アジアの地理や歴史がベースにあると、きっと何倍も楽しめる。読後感もよし。2018/02/14
ざるこ
46
バヤン島のテンバヤン村に保護される形で留まる真央子たち。テオマバル国内の反政府ゲリラが宗教が絡んだ内部分裂を起こし村周辺に侵入してきてはゲリラVSゲリラの戦闘が続く。植民地にされた歴史や戦争が繰り返されてきた経験から危機を脱する最善策を導きだす村人。生活を守るための知恵は命懸け。そんな部族の慣習を体感しつつ自分の人生を見つめ直す真央子たち。最終的に3人が選ぶ道は当然とも思える。真央子がメディアに向けて放つ言葉、一部の人から返される言葉がリアル過ぎて何が正しいのかと考えさせられます。初篠田作品よかったです!2019/04/03
James Hayashi
24
南のリゾート的な小島にバカンスを楽しむ、もう若くない未婚女性たち。そんな彼女たちがクーデターに巻き込まれサバイバルを描いているまでは良かったが、後半は失速感があり面白みがなくなった。未婚女性とサバイバル感が異質で面白そうであったが、現地の人間と同化していくのは凡庸であり著者らしさがないと感じた。2021/06/12
青葉麒麟
17
島国日本で良かったなとつくづく実感^_^;民族間の争いも日本人にはあまり関係無いから、此処まで血で血を洗うモノだとは思わなかった(>_<)読んでる此方にまで暑さが伝わって来た。お局様達、根性有るわ。2012/08/09