出版社内容情報
土佐へ流罪になった隠れキリシタンに女色の試練が! 古老の口から語られる、運命に弄ばれた土俗の叫び。濃密なエロスに満ちた7篇。
内容説明
明治2年、長崎・浦上村の隠れ切支丹たちが土佐の漁村・天浜へ流罪となった。志操堅固な信徒たちに手を焼く村の顔役たちは、遊郭の女郎たちをけしかけて戒律を破らせ、棄教に追い込もうとする。表題作など、宮本常一とおぼしき民俗学者が採集した回顧譚の体裁で語られる、濃密なエロスとグロテスクな哄笑に満ちた7つの物語。
著者等紹介
坂東眞砂子[バンドウマサコ]
昭和33(1958)年、高知県生まれ。奈良女子大学居住学科卒業後、イタリアに2年間留学、インテリアデザインを学ぶ。帰国後フリーライターとして働きつつ童話を発表、57年、第7回毎日童話新人賞優秀賞を受賞。平成6年「蛇鏡」「桃色浄土」が連続して直木賞候補に。8年「桜雨」で第3回島清恋愛文学賞受賞。9年、「山妣」で第116回直木賞受賞。14年「曼荼羅道」で第15回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ann
50
民俗学へのオマージュがベースにあるからか、自分的には「NEO・棺桶本」だった。作者のイメージからして、もっとエログロかと思ったが、「営み系」の描写はあっさりだった。大好きな、デビュー直後の江戸川乱歩氏がチョイ出演してたり。こんな短編集、あまりないんじゃないかな、のレベル。久しぶりに面白くて時間を忘れた作品。2020/10/22
メタボン
26
☆☆☆☆ 民話とホラーが混じった「お接待」が良かった。遍路をもてなす習慣は今もあるのだろうか。船に向かって小便をした女が船を呪ったとして島の者達からつまはじきにされる「まんなおし」。盲目の按摩師が女二人と交わる「残り香」。一度交わった遊女の最期が哀しい「パライゾの寺」。落ちぶれて最後は村の者6人を殺す「虫の声」。他、「六部さま」「朱の棺」。2023/03/28
うめ
22
朱の棺が一番好き。作られた虚像は私の息子なんかじゃない、出来が悪くってこすっからくて短気なだけの、ただの愛おしい子ども、軍神なんかじゃないんだ、って母の叫びがとても良かった。優秀だから愛してるのではなくて、出来が悪くったって、愛してる。死んで英雄様、軍神様だなんてクソクラエ、生きていてくれさえすれば(生きていればいたでまた色々文句もでるんでしょうが)。母の思いと朱の棺。その他は官能小説の様。舞台が舞台だけに湿った生々しさに満ちている。2019/07/09
あぶらや
15
何故か再読してしまった。民話的な話はエロスの要素が強いです。2022/07/23
あぶらや
13
坂東さんだからもっとホラー系かと思ったら民話のような話でした。 男が四国を周り土地の年寄りから不思議な昔話を聞く。 最初は拍子抜けしたけれど、読むにつれて引きこもれました。 2018/12/10