内容説明
会社の上司と七年越しの愛人関係を続けている紘子。それなりに関係は安定していたが、ブラジルからやって来た取引先の男・高森の出現で微妙に心が揺らいで…。感情と恋の一瞬の移ろいを描いた表題作「夢の封印」、女性介護ヘルパーが生と性の不即不離を知る「月待ち」ほか、官能と性、その残酷と豊饒を描いた佳篇七作を収録。
著者等紹介
坂東真砂子[バンドウマサコ]
昭和33(1958)年、高知県生まれ。奈良女子大学住居学科卒業後、イタリアに2年間留学、インテリアデザインを学ぶ。帰国後フリーライターとして働きつつ童話を発表、57年、第7回毎日童話新人賞優秀賞を受賞。平成6年「蛇鏡」「桃色浄土」が連続して直木賞候補に。8年「桜雨」で第3回島清恋愛文学賞受賞。9年、「山妣」で第116回直木賞受賞。14年「曼荼羅道」で第15回柴田錬三郎賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
27
☆☆★ 軽い官能小説。正直読んでも読まなくても良い内容とも思うが、アンニュイな人生の中で忍び込んでくる情感の雰囲気は悪くない。2021/04/26
ろば
12
これが板東さんの作品?って思われるくらい普通の恋愛小説って感じました。まあ、板東さんの本自体あまり数多く読んでる訳じゃないけど、ちょっと印象が違ったなあ。2015/04/18
悠遠
8
ねっとりとした、真夏の熱帯夜のような小説。でもなんか、ちょっとスカスカしてる気がするなー、すぐに性の方に行くので葛藤とかその辺が薄っぺらく感じるというか。もう、狗神のようなやつは書けなくなっていたのか。2020/12/03
あかつや
5
短編7編。どれも男女関係を中心に人生の機微みたいなものを描いている。一番面白かったのは「蓬莱ホテル」かな。友人2人と連れ立って温泉旅行にやってきた主人公。砂風呂に行ったら中東系の色男が働いていて、彼に欲情してしまう。夢や希望はもちろん叶えたいもんだけど、いざ叶ってしまうとなかなか想像を超えてこなかったりするよなあ。天心vs武尊は実現しちゃったから馬場vs猪木ほど語ることがないんだ。他には「夜の魚」がロマンチックでよかった。あと「月待ち」の老人。男たるものいつまでもそのイチモツで若い娘を脅かしたいもんだな。2022/08/24
margarita
5
「死国」しか読んだことなくて、そのイメージだったんだけど、こんな官能小説?も書くんだなぁ。怖い話なんだろうかと思っていたけど、まったくホラー臭はなく、男と女のアレやコレの短編集。怖い話書く方って、官能ものも上手なんだなぁって、あとは岩井志麻子さんしか知らんけど(笑)暗いんだろうって覚悟してたのに、案外スルスルっと読めて意外な読後感。こういう期待の裏切られ方って、なんだか楽しいね。2016/01/17