内容説明
人捜しの名人がいて、縄文人のウンコの研究者がいる。百億分の一の濃度を嗅ぎ分ける鼻の達人がいて、情熱の風俗ライターがいる。星が夜空にあるように、人はみな地上にあって、それぞれの人生を生き、死してなお書物の中で輝き続ける。屈指の本の目利きが、書物の中の「異能の人」を鮮やかに甦らせる、人生の滋養エッセイ。
目次
隠す場所
草
掘って掘って掘る
良い言葉
もしや?
兄弟
神々の微笑
白すぎるほど
におう
名アナウンサー〔ほか〕
著者等紹介
出久根達郎[デクネタツロウ]
1944(昭和19)年、茨城県生まれ。73年より東京都杉並区高円寺で古書店「芳雅堂」を営むかたわら文筆生活に入る。92年、『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞を、93年、『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sasha
9
好きなんだよね、出久根達郎さんの書籍関連のエッセイは。興味のない分野の作品でも「これ、面白そう」と思わせてくれるのだもの。でも、それは反面、「読みたい本」リストが無限に増殖する罠に落ちることでもある。それでも定期的に書籍エッセイが読みたくなるのは、未知の分野を開拓する為でもある。ああ、これは「本のアリ地獄」なのではないか。2019/04/27
ウチ●
3
溜めていたレビューを書くに当たり、パラパラっとめくってみると・・・内容を本当に覚えていない!数行読むとああ、と思うのもあるが、かなりの部分忘れている。エッセイはスラスラ読めるのも大切な要素だと思います。引っかかりの無さは職人芸の域。あとがきで著者言うところの「隅っこ本」本の好みは見事にシンクロしました!※ベストセラーを読み大勢の者と感動を共にするのも、悪くない。しかし、少部数の、いっぷう変わった内容の本を楽しむのも、これまた読書のだいご味である。2018/08/10
ぺーいち
0
ベストセラーにはなり得ない良書の数々、それは古書店主ならではの目利き。書評としての視線は至ってフェア、ユーモアを交えた語り口は的確で簡潔。上段に構えず、さりとて「ユルい」とも異なる、肩肘張らない文体に引き込まれます。「短文の手本」とある方が評していたことから手に取ってみましたが、まさにおっしゃる通り。2010/04/21