出版社内容情報
山形の山村に移住した翻訳家が耳にした名刀の噂。三百年間語り継がれてきた伝説のヴェールを新参者の私がめくってよいのだろうか
内容説明
解け!幻の刀「月山丸」の封印を。都会を脱出、山形の山村に移住した翻訳家が耳にした名刀の噂。三百年間、秘かに語り継がれてきた伝説のヴェールを新参者の私がめくってよいのだろうか。現代と古層が交錯するムラに、日本人の心性をさぐるフォークロア小説の誕生です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひ ろ
15
うーん。作者の田舎好きもここまで来ると凄いな。田舎モノの自分ですら尻込みするような月山の麓の村。都会から移り住んだ作家の「私」は、1日2往復しかないバスも、家から出るにも難儀するほどの雪深さも、村のジジババのアクの強さも、全てを愛して田舎暮らしを楽しんでいるのが伝わってくる。特に事件もなく淡々としたドキュメンタリー的な語り口。「私」が作った脚本によって村に芝居をやる事になり、徐々に村に一体感が生まれて来た事に静かな感動を覚えた。しかしこの訛りの強さは、東北人にしか読めないのでは?とも思った。2016/01/31
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- 和書
- 男の始末 文春文庫