出版社内容情報
桑名藩雷神隊から陸軍大将へ。戊辰、西南の役、日清・日露の4戦場を稲妻のごとく疾駆した名将の颯爽たる生涯を描いた傑作歴史長篇。
内容説明
幕末の戊辰戦争では、佐幕派の桑名藩雷神隊に所属し、西軍の山県有朋を翻弄。明治維新後に新政府に出仕すると、西南の役、日清・日露と、近代日本の命運を左右した戦場を稲妻のごとく疾駆し、陸軍大将へと登りつめ、その巧みな戦術から「東洋一の用兵家」と称された立見尚文。その生涯を描いた傑作歴史長篇。
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年栃木県生まれ。東北大学文学部卒業後、出版社勤務を経て文筆活動に入る。87年、『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。93年に『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年に『二つの山河』で第111回直木賞、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アイゼナハ@灯れ松明の火
28
戊辰の戦では桑名藩雷神隊隊長として勇名を馳せ、朝敵の出自ながらも日露戦争当時には師団長として東北の健児たちを率い、黒溝台の難戦を闘い抜いて日本の勝利に貢献した稀代の戦上手、立見尚文。この人の本はつい手に取ってしまいます。かつての敵ですら認めざるをえない強さというのに憧れるのかな?偉ぶらないお人柄が偲ばれる所もいいのかも。本書では戊辰戦争のなかでも奥羽越列藩同盟の事蹟が多く語られていて興味深かったです。戦記物としても楽しめるんではないかしら。2012/01/22
スー
15
66日露戦争の黒溝台の戦いで活躍した立見尚文について知りたくて購入しました。本の3分の2ぐらいは桑名藩士として参加した戊辰戦争が中心で後半に日清戦争とお待ちかね日露戦争の黒溝台の戦いでした。戊辰戦争では常勝の隊長として新潟から会津と転戦し佐川官兵衛や河井継之助と共に戦う。そして山県有朋の盟友を戦死させた事をずっと恨まれ出世に影響を受けたが最後は葬儀に大山巌と山県有朋が出席し薩長の両巨頭に頭を下げさせたとして桑名人達の留飲を下げさせた。西南戦争での桑名・会津人達の鬱憤を晴らす気持ちが痛いほど伝わりました。2022/08/09
如水
7
幕末の戊辰戦争~日露戦争迄動乱の中を駆け抜けた知る人ぞ知る英雄です。余り知られてないのはズバリ旧幕府側だったから。そりゃ~賊軍なのに局地戦で連戦連敗させられたら名前を伏せたいでしょう。ただ西南、日清、日露と戦争が続く中、優れた指揮官は必須。何処かの誰かと違い(?)遺憾無くその才能を発揮します。『維新の軍神』と言っても良いと思います。2017/05/21
北之庄
6
賊徒首魁会桑との汚名を背負わされた、伊勢桑名藩の雷神隊⚡️率いる立見尚文の一代記。これまで会津や長岡、庄内各藩をテーマとする作品は、あれこれ目を通してきたが桑名は初めて。一に桑名二に鬼佐川と恐れられたとの逸話は、何処かで目にはしたものの、ここまで桑名諸隊が精強とは初耳。維新後は西南の役、日清日露と転戦した稀代の戦術家、常勝不敗の立見将軍物語は、新たな立身出世物語。凄惨な戦闘を描く箇所も多々あれど、爽やかな読後感は、彼自身の快男児ぶりによるものであろう。2018/11/02
yamatoshiuruhashi
5
日露戦争の師団長、立見尚文として知らなかった人物であるが、本書は戊辰戦争における立見鑑三郎としての話が凡そ4分の3ほどを占める。これまで戊辰の東軍については小説としては、会津藩か長岡藩中心に読んできたが、桑名藩の動きについては初めて読んだ。「坂の上の雲」でも出てくる人物であるが、日露戦争は幕末の延長にあることを改めて感じる。2014/01/19