内容説明
江戸時代初期、二代将軍秀忠のご落胤として生まれた幸松は、信州高遠の保科家を継ぐ。やがて異母兄である三代将軍家光に引き立てられ、幕閣に於いて重きをなすに至る。会津へ転封となった後も、名利を求めず、傲ることなく、「足るを知る」こそ君主の道とした清しい生涯を、時に熱く、時に冷静に描く著者渾身の書。
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
昭和24(1949)年栃木県生まれ。東北大学文学部国文学専攻卒業。48年から平成3年までの文芸春秋勤務の後、文筆生活に入る。昭和62年「明治新選組」で第10回エンタテインメント小説大賞受賞、平成5年「五左衛門坂の敵討」で第1回中山義秀文学賞、そして6年「二つの山河」で第111回直木賞を受ける。丹念に史料にあたり、多くの史実にふれ、いずれにも偏しない独自の歴史観と雄渾な筆致で綴られる作品は注目を集め、いま最も期待される本格歴史時代小説の作家である
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感想・レビュー
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つーこ
54
保科正之って、いろんな本に出てくるけどあまりよく知らない人で、この本を読んで深く深く感動した。玉川上水とか火除地などなど彼の功績の凄さもさることながら、「明暦の大火」後の保科正之の行動には本当に感服した。徳川家に従順に仕えながらも、常に民の方へ目が向いている。こんな政治家が今いたらな〜と、これを読んだ人はみんな思ったよね?残念なことに、肉親との縁が薄い人なので余計に『生かされている』という精神で、周囲に感謝しつつ生きたんだろう。『足るを知る』うん。素敵な生き方だな〜。2019/08/02
り こ む ん
43
彼を成すものは、母の子を守ろうとする強さ。見性院と信松院の無償の愛。そして、保科家の人々の教え。全ては幼少時に培われたもの。回りが、彼をここまでの名君にしたのだろう。確かに、本人の性質も多分に有るだろうけれど、高遠での日々がなければ、名君にはなり得なかっただろう。生涯を通じて家族と別れが多いのは、産まれながらの運命を感じずにはいられない…この時代なら仕方がないのかも?ただ、その人に尽くす人生は、やりきった!ここまで、一筋に懸命にやりきった人は、そういないからこそ、読了した時の感動と感銘はとても深い一冊2016/07/05
ちゃいろ子
39
読友さまに教えて頂きこちらを。中村氏は保科公はじめ会津藩の本をたくさん書かれていて、読みたい本がたくさん! 産まれる前の事から、とにかく詳しく描かれていて、そうだったのかぁ!!と色々納得でき、ますます保科正之という名君に心酔。 Kindleで読んだがハイライトだらけに。 どこまでも領民の事を考え善政を施す。それについてのエピソードなども本当にたくさん描かれていて心があたたまる。彼がそういう人だから家臣も彼の為にと働く。幼い頃、高遠藩内を一緒に廻って様々な事を教えた正近とかね。 ただ家族との幸せには→2025/10/05
つーこ
35
読んでた!読んでたじゃん、私!こんな分厚く読み応えがある本なのに、すっかり忘れてた・・。読書メーターありがてー。先日読んだ保科正之の本よりも、グッと深く細やかに時代背景や文化なども描かれていて面白い。(忘れてたけど)この保科正之がこんなに名君だったことが、あまり世に知られてないのが残念。そろそろ大河にどうかな?2022/05/23
ume 改め saryo
34
物語は保科正之の生前の時代を語るところから始まり、その稀代の名君の激動の一生を語ります。 多くの生に恵まれ、それ以上の死に直面した。 こんな人がこの地球のTOPにたったら、どれほど輝く星になることだろうと思います。 読んでよかった(^^)2014/03/26




