出版社内容情報
僕は四年生、和菓子屋の一人っ子。ある日、従妹のみつ子がうちの子になるという。妹なんかいらないのに──「おしっこと神様」を改題
内容説明
ぼくは片岡聡、四年生で一人っ子。和菓子職人のお父さんの作るどら焼きは日本一おいしい。お母さんは涙もろくて怒りっぽい。ある日、遠くに住む従妹のみつ子がうちの子になるという。ぼく、イヤだ。妹なんかいらない―。できたての東京タワーがまぶしかった頃の、ふつうの家族の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
158
昭和30年代のノスタルジーに満ち満ちた小説。解説を書いている安西水丸氏も、その懐かしさに目を潤ませんばかり。プロットの中核をなすのは、語り手である聡の成長物語であり、同時に家族の物語である。ただ、ここに描かれる家族像は、昭和30年代としてのリアリティは持っているものの、あまりにも前向きであり、かつ善人ばかりが登場する。つまり高度経済成長期の礼賛に終始しているかのようにも見えるのだ。聡の小学4年生なりの繊細に揺れ動く感受性が、この小説のもう一つの重要な核であることを認めたとしてもである。2017/03/23
山脈
3
ホラーやミステリーばっか読んでるけど、たまにはこういうのもいいなと思った。ほっこり。聡の父はとてもいいお父さんだと思う。良太がいつか強くなって、みつ子に会いに来てくれたらいい。2015/07/26
のん
3
姪のみつ子を預かることになった聡の一家。聡がみつ子とずっとかぞくでいたいと思えた日、みつ子が聡の父をポロリとお父ちゃんと呼んだ日。お母さんが養子にすることだけにこだわらなくなった日、それぞれのエピソードが丁寧に書かれている。登場人物が皆愛情深いことが読んでいてほっとする。
hugeyomo
3
ねじめ作品をあまり得意としない方からいただいたこの作品、あれよあれよという間に読み終えていました。これもまた続きが読みたい一冊となりました。残念ながら巻末の解説ははっきり言ってお粗末かな。。。2012/02/17
ミメイ
3
☆4 著者の「小説」を読むのはたぶんこれが初めて。驚きました。唸りました。文句なしの秀作。読んでよかった。昭和を描いた小説って今は増えているけれど、その時代ならではの情景や風物詩が「とってつけた」ように思えてしまうものが多い。でも、この作品は違いました。人物ひとりひとりの気持ちがよく分かって、その時その場所に自然に入り込んでしまえるから、違和感なく昭和を体感できる。これを機にねじめさんの小説をもっと読んでみよう。2009/05/12