出版社内容情報
昭和35年、帰国運動に加わり北朝鮮に渡った元在日朝鮮人が、金日成体制に幻滅して韓国に亡命するまでの苦難にみちた34年間の手記
内容説明
「教育も医療も無料の社会主義祖国」「地上の楽園」―朝鮮総聯が鳴り物入りで展開した帰国事業に煽られ、九万数千人の在日朝鮮人(日本人妻を含む)が北に帰った。本書の著者もその一人。ところが、希望に胸をふくらませて帰国した彼らが目にした祖国の姿は…。渡北から決死の韓国亡命を果すまで三十四年間にわたる悪夢の記録。
目次
序章 平壌で再会した初恋の人
第1章 凍土への旅路
第2章 村八分の新生活
第3章 拘留生活と「赤とんぼ」
第4章 胸痛む父母の死
第5章 炭鉱への“出稼ぎ”
第6章 “自白事業”と都落ち
第7章 徴罰で始まった新生活
第8章 決死の北朝鮮脱出
補稿 「日本人妻里帰り」問題に思う
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
15
1960年。17歳で日本から北朝鮮へ帰国、やがて韓国へと脱北した著者の実録。各国の政治的目論見や赤十字社が絡んだ事業に翻弄された9万人のうちのひとり。3章まで。◉乗船した瞬間に「話が違う」と直感するボロ船。あてがわれた住居や仕事もまた同様。配給制に命を握られ、持ち込んだ家財を切り売りしても足らない食糧。「食べることがこれほど深刻で重大な問題であるとは」この内情は70年代まで日本には伝わらなかったそう。◉「働けば働くだけ身入りのよくなる資本主義社会とは違って、北朝鮮農民の生産意欲が高まるはずがないのである」2021/08/17
JUN
2
なかなか凄惨な状況を記載されている内容であったが・・・あらすじは、日本で生まれた在日朝鮮人が父の意向で、北朝鮮に渡り、貧しい状況や、スパイと疑われ投獄された事や云々があったが、結局、最終的には家族を置いて(妻と5人の子供)脱北したという流れだった。言い訳は色々と出来るが、家族を置いて、自分のみが逃げるというのは、人間として最低だと感じた。それ程までに悲惨な境遇であったのは差し引いても。ただ、自分が生まれた以降の話で、未だにこういう状況が存在するというのは、一方で信じがたいが。2011/12/06
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