文春文庫
浅草のおんな

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  • サイズ 文庫判/ページ数 342p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167546205
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

三社祭、ほおずき市、隅田川の花火大会……。下町情緒あふれる浅草の小料理屋「志万田」を舞台に、市井の人々の悲喜交々を描く。

どうだい、世間も捨てたもんじゃねぇだろう

三社祭、ほおずき市、隅田川の花火大会……。下町情緒あふれる浅草の小料理屋「志万田」を舞台に、市井の人々の悲喜交々を描く。

内容説明

浅草の小さな小料理屋「志万田」は、女将の志万の料理と人柄に惚れた常連客で、今日も賑わっている。志万は十七のとき、男を追って東京へ出てきたが、かなしい別れのあと、この土地に店を構えた。三社祭、ほおずき市、隅田川の花火大会…。下町の風物と、慎ましくも誇り高く生きる人々の姿を描いた人情小説。

著者等紹介

伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年、山口県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。1991年「乳房」で第12回吉川英治文学新人賞受賞。92年「受け月」で第107回直木三十五賞受賞。94年「機関車先生」で第7回柴田錬三郎賞受賞。2002年「ごろごろ」で第36回吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

491
主人公の志万は、縁あって浅草で小料理屋を営むアラ還の女性。切れ長の目を持ち、小柄で男性にはとことん尽くすタイプ…という設定がわたしと真逆で、その行動にいちいち納得できないことを除けば、とても読み心地の好い作品だった。古風すぎる志万の言動から昭和ど真ん中のお話だと思っていたので、「秋葉原無差別殺人事件」と出てきてびっくり。ゼロ年代にもこんな女性が存在したのか。浅草はわたしにとっても子ども時代より思い出の街。四季折々の行事や風景、そして主人公手ずからのお料理も愉しめる作品。作品をなぞって再訪したい。2021/02/15

あすなろ

100
艶っぽい作品だなぁというのが一言感想となる。女の汗って艶っぽいね、なんて描けないですよ。そんな表現が全編通じて散りばめられている。但し、男性が描く艶っぽさかもしれぬが…。兎に角志万に惹かれて読了する作品。あまり登録もないようですが、秀作だと思いました。派手さは全くない作品ですが。この独特の雰囲気は、解説の道尾氏が書いているとおり、伊集院作品でしかないのだろう。2018/02/09

ケイ

91
伊集院氏の作品で、大人の話、それも本当の意味での大人の話は初めてだ。こんな小料理屋が浅草にはありそうだ。浅草でなくても、あれば男なら通いたいだろう、こんな店の常連客になりたいだろう。女将は、料理がうまくて余計なことは聞かない。常連もいい人ばかり。それに何より料理がとても美味しそうなのだ。ただ、主人公の女性が男にとっての理想の女なのだろうか、女の私から見た時に少々違和感を覚えた。最後を飾る道尾氏の解説がまた秀逸なのだが、料理や浅草という街の描写への賛辞であり、そこが読みどころなのだと私は思う。2014/09/23

モルク

90
浅草の路地裏にひっそり営む小料理屋「志万田」が舞台の人情小説。風情漂いおかみ志万と常連さんたちの会話が弾む。昭和の匂いがプンプンする。旦那留次の死から7年、それでも留次のことを思い出さない日はない。そんな志万に突然新たな恋が…。50半ばといえ、言い寄る男衆も多くいやはやおもてになりますなあ。ただ、思わせ振りな態度はいかんよ。蛇の生殺しは相手に悪い。ハッキリさせなきゃ。でも一度こういう小料理屋に行ってみたい。常連さんばかりだとちょっと入りづらいけど。下町情緒漂う粋な話。2020/06/28

じいじ

89
いい小説を読んだなぁ!という実感です。下町情緒を残す街浅草、その路地裏に佇む小料理屋「志万田」が物語の舞台。女将の手料理に惹かれて集まる、地元の男衆が粋で気風がいい。伊集院氏が描く女将・志万がとても魅力的です。ひかえめな心情描写、女の悦び、人としての生き方を教えてもらった今は亡き男への情愛が丁寧に描かていて、読み手の心に沁みてきます。作中、浅草の名物行事(三社祭・隅田川花火・奉納出初式…)や美味い物のお店が物語を盛り上げてくれます。粋で味わい深いオトナの純愛・人情小説です。2020/06/12

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