内容説明
十五年前に家を出たきり、会うこともなかった親父が死んだ。大学三年のぼくは、形見を受け取りに行った本郷の古い家で、消息不明の姉の存在を知らされ、季里子という美しい従妹と出会う。一人の女の子を好きになるのに遅すぎる人生なんてあるものか…夏休みの十日間を描いた、甘くせつない青春小説。
著者等紹介
樋口有介[ヒグチユウスケ]
1950年群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞し、デビュー。90年『風少女』で直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばう
34
★★★15年前別れたきりの父の訃報を受け、形見の品を受け取りに行く所から話が始まっていきます。登場人物がみんな魅力的。つかみどころのない主人公もその母親も香織さんも季里子も大学の先生たちも。中でも高森のおばさんのキャラクターが忘れられません。ちょっとハードボイルドっぽい語り口の青春小説(ミステリー要素を含む)という感じでしょうか。礼司の最後の一言がいいですね(*^_^*)2015/06/25
背番号10@せばてん。
20
【1992_吉川英治文学新人賞_候補】1999年10月12日読了。あらすじは忘却の彼方。1999/10/12
nico.pp1
16
樋口さんの青春小説はイイ!こんなに大人びた主人公いないだろと思いながら、そこがまた魅力があり、微笑ましくて…“宿命的な相性”の香里子も可愛くて…なんか、夏が待ち遠しくなってしまいました。2015/04/20
マシマロウ
10
この本に登場する希里子という女性像は、女性の目にはどのように映るんだろうか?どちらかというと少年っぽい身体と、ロングよりショートが似合い、その繊細な精神ゆえに自分の心を閉ざしてしまっているような女性を。男性の目からは、どうしようもなく魅力的に見えてしまう。セカイ系そのものではないのだが、セカイ系に登場する少女のように、庇護すべき存在として。ミステリー作家として出発した作者が、書きたいものとして執筆したのがこの作品ということだ。年齢に関係なく、男は少年の心を持っている。それを再認識させられる小説だ。2018/05/03
カロリーナ
8
☆4 樋口有介の小説は好きだな〜。樋口さんと言えば「夏」ですよね。主人公のキャラクターや話し方などはどれも同じなんですが、兎に角そこがツボ!今回は主人公以外にも、主人公・礼司の母や季里子など愛すべきキャラクターが多く、それも楽しめました。礼司の十日間の夏の青春物語です。2012/09/01