内容説明
安倍晴明の屋敷で、いつものように源博雅が杯を傾けている所へ、橘実之の娘、虫が大好きな露子姫がやってきた。何でも晴明に相談があるというのだ。広沢の遍照寺にいる僧が、眠る前に読経していると、黄金色をした虫が現われるが、朝には消えてしまうらしい。この虫の正体は―。「二百六十二匹の黄金虫」他、全六篇収録。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
昭和26(1951)年、神奈川県小田原市生れ。48年、東海大学日本文学科卒業。52年、「奇想天外」誌に「カエルの死」を書いてデビュー。圧倒的な人気を博する「陰陽師」「魔獣狩り」「餓狼伝」の各シリーズをはじめ、山岳、冒険、ミステリー、幻想小説などの分野で広範な読者を魅了し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
187
陰陽師シリーズ30周年記念完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11399200?sort=book_count&order=desc 今回は、第七巻です。 オススメは、「鬼小槌」&「覚」です。安倍晴明が、源博雅の屋敷を訪ねる逆パターンは、あるのでしょうか?続いて第八巻 絵物語第一弾「陰陽師 瘤取り晴明」へ「ゆくか」「ゆこう」「ゆこう」 https://books.bunshun.jp/sp/onmyoji2019/05/09
KAZOO
133
始まりはいつもマンネリですが私は嫌いではなく、ああいつもの調子で始まったなあという感じで読んでいます。お経から文字が黄金虫になって飛び出す話は、その推理過程がポーやシャーロック・ホームズの短篇を思い出してしまいました。最近は道萬もライバルではなく仲間のような感じです。楽しみました。2017/09/19
rico
92
久々の再読。晴明が屋敷を訪れた博雅とで酒を酌み交わす→怪異が持ち込まれる→二人で出かけて解決。水戸黄門、あるいは獏さんがおっしゃるように寅さんの如く、「お約束」を一切裏切ることのなく展開される6つの物語。かつてはバトルやってた道満さんとも、いいお付き合い?してるみたいだし。あまりにも型通りで物足りなくもありますが、これはこれで、安心してこの世界に浸ることができました。久しぶりに新作を手にとってみようかな。晴明と博雅は最高のバディ。呪をめぐる二人のやりとりはなかなか深くて、楽しいです。2022/07/21
眠る山猫屋
59
再読。秋冬の怪異を中心に、晴明と博雅の物語は続く。露子姫や道満法師も顔を出す物語群は、この巻では割りと仏典絡みのエピソードが多いかな。陰陽道と仏道があまり解離しておらず、互いに協力関係にあるのが新鮮。それにしても平安の薄闇には、たくさんの怪異が潜んでいたんだなぁ…。2020/02/27
ケイ
54
一時期、陰陽師シリーズにはまっていたのを思い出し、読んでない巻より再び始めることにした。博雅がふと目にとめる自然の様を疑問に思い、晴明に問う。その問答よりいつも物語が始まる、水戸黄門のような安定感。人の業や物の怪などがさらりと描かれているが、短編だけでなく、壮大な物語もまた読んでみたい。鬼から助けてくれる観音の話がよかった。2014/03/02