出版社内容情報
自殺した妻に謎の請求書。義弟には大陪審からの召喚状。見なれた顔に隠された欺瞞をはがしてゆくスターン弁護士の飽くなき執念!
内容説明
もっとも大きな謎は、もっとも近い人間の中にある―真実に近づくにつれ、自分が何も知らなかったことに気づかされるスターン弁護士。法律や裁判の現実と、夫婦や家族の問題が複雑に絡み合いながら、物語は思わぬ結末へ。ミステリーでありながら人間心理の内奥を深くさぐった、法の第一線で活躍中の著者による待望の第二作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
268
★★★★☆ 上巻ではスターンの『推定無罪』からの急激なキャラ変に付いていけず、余り作品に入り込めなかったが、下巻からは普通に受け入れることができるようになった。 ミステリパートは正直弱い。クララの自殺の真相もディクソンの有罪答弁の動機もあまり納得のいくものではなかった。とはいえインサイダー取引の内幕と情報提供者の正体には感心した。 それより1人の初老男性が人生を取り戻していくヒューマンドラマパートが心にグッときたのが大きい。 主役がスターンじゃなければもっと気に入ってたかもしれない。2022/08/25
背番号10@せばてん。
30
【1993_週刊文春ミステリーベスト10_海外1位】【1994_このミス2位】1996年2月8日読了。原題は「The Burden of Proof」。あらすじは忘却の彼方。(2020年7月29日入力)1996/02/08
neputa
16
仕事人間だった弁護士の男が妻の自殺という不幸に直面し、自身の人生と残された家族、隣人たちとの関係性を再構築するヒューマンドラマ。人の死は多くをもたらすのだと実感する。それは深い悲しみだけではなく、伏せられていた多くの真実であったりもする。人間関係は常にバランスの上に成り立っており、ひとたび均衡がくずれると、壮大なエネルギーを用いて再構築が必要となる。しかし、喪失を埋め新たに築きあげる人生は、勇気をもって誠実に向き合うことにより素晴らしいものにすることができる。そう強く思わせてくれる作品だった。2018/05/03
BIN
9
結局リーガル・サスペンスにはならず、義弟ディクソンの会社の不正訴訟と妻の自殺の真相が明らかとなるミステリー小説・・・というより解説にある「初老小説」がメイン。妻を失った喪失感もりもりの初老弁護士がやたらと熟女に持てだしていろいろ手を出すものに・・・初老じゃないので良さがわかりませんが、初老を迎えると良いと思えるようになるのだろうか。スターンの考えが二転三転し、最後に真相にたどり着くところは面白いのだが、そのオチはちょっと残念なところでした。2019/12/09
おっさんB
6
義弟の経済事件に対して、弁護士スターン自身が大陪審に召喚され、義弟から預かった金庫の件で、法廷侮辱罪に問われ、収監の可能性すら出てきたが…結構、面白い内容だっただけに、最後の終わらせ方がイマイチ。これが、もう一つ、どんでん返しなり、そうしないまでも、ディクソンをご都合主義的な形にしなければ、もっと、世間での評価も高かったのに。残念。2019/02/28