内容説明
食道ガン・余命一年を告知された著者が、治療方法や病院の選択に悩みつつ、強靱な精神力で綴った日記である。非人間的な延命治療を拒み、看病する妻の負担を心配し、時には「気がゆるむと心が乱れる」と記す。セネカの言葉や徒然草に勇気を得、見事な生を全うすべく最後まで努力する姿が浮かぶ。資料・遺言なども併録。
目次
ガン日記
夫が亡くなるまでの日々
文学者の真実の記録
死に際しての処置―二〇〇一年五月三日記す
セネカの哲学とわたしのガン体験(『セネカ 現代人への手紙』あとがき)
墓をつくる/墓のこと(浄運寺寺報「松柏」より)
「黒いノート」より
著者等紹介
中野孝次[ナカノコウジ]
大正14(1925)年、千葉県に生れる。東京大学文学部卒業。カフカ、ノサックなど現代ドイツ文学の翻訳紹介、日本文学の批評、小説、エッセイなど多彩な執筆で活躍。主な著書に、『ブリューゲルへの旅』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『麦熟るる日に』(平林たい子賞)、『ハラスのいた日々』(新田次郎賞)など多数。平成16(2004)年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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