出版社内容情報
人は社会の中でどこまで<自分らしさ>を貫けるか?大岡昇平、尾崎一雄、藤枝静男、三人の文士の思い出から、その秘密をさぐる
内容説明
気のすすまぬことはやらぬだけ…かつてそう豪語して、「自分らしく生きる」ことに賭けた、見事な男たちがいた―。大岡昇平、尾崎一雄、藤枝静男。著者が人生の師と仰ぐ、三人の文士の生き方から、醇乎として「自分」でありつづけることの困難と素晴らしさを問いかける、思い出の記。希有なる個性との遭遇。
目次
大岡昇平
尾崎一雄
藤枝静男
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
18
題名からして3名に対するリスペクトを感じます。特に大岡昇平への気持ちは読むだけで羨ましくなるぐらい良かったです。2024/06/14
なる
16
評論家・作家として確固たる実績を残すに至った著者が、その過程で贅沢にも触れあうことができた三名、大岡昇平、尾崎一雄、藤枝静男についての生前の思い出を交えながらその文学性を分析する。いずれも著者が壮年になってから知己を得たので、感情的でない観察をしているけれど、まるでどれもが追悼文のような、優しくて愛の溢れた分析になっている。特に著者が若い頃から作品に触れていた大岡昇平へは、こちらまでもらい泣きしてしまいそうなくらいに穏やかなエピソードが挿入される。ちょうど恩師を亡くしたタイミングだから特に印象に残る。2020/05/20