出版社内容情報
アラスカに生きる動物や大自然を撮りつづけた星野道夫。未来ある若者、都市で生きる人に語りかけたみずみずしい体験と生の哲学。
内容説明
アラスカに魅了されて大自然と動物、人々の暮らしを撮りつづけた星野道夫が、みずみずしい体験と生の哲学を、自然を愛する人々に語りかけた講演集。英語で手紙を出して小さな村を訪れた若き日。カリブーの大移動やオーロラの息をのむ美しさ。厳しい自然と生きる人々の叡智と祈り…。カラー写真多数収録。
目次
第1章 卒業する君に
第2章 アラスカに魅かれて
第3章 めぐる季節と暮らす人々
第4章 本当の野生
第5章 オーロラの下で
第6章 南東アラスカとザトウクジラ
第7章 誰もいない森から
第8章 二つの時間、二つの自然
第9章 百年後の風景
第10章 インディアンたちの祈り
著者等紹介
星野道夫[ホシノミチオ]
1952年千葉県生まれ。慶応大学経済学部卒業。78年アラスカ大学野生動物管理学部に留学。86年アニマ賞、90年木村伊兵衛賞受賞。96年、カムチャツカにて逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
184
星野さんが日本で講演した内容を記録した講演集。10の講演が掲載されているため、内容が重複している部分もあるが、相手に合わせて表現が分かりやすかったり、少しレベルを上げて話をされたりしているので、その違いを読んでいると星野さんの優しさや伝えたいという思いを感じられた。また、池澤夏樹さんのあとがきでは、この本は1週間をかけて読み、心に定着するのを待って進むと良いとアドバイスされていて、効率を求めてはいけないとのこと。なるほどと頷いてしまった。回を重ねる毎に新しいエピソードが加えられたり、表現をかえたりしてい2018/01/13
naoっぴ
70
星野さんが各地で行った講演をまとめた一冊。講演で繰り返し述べられているのは、身近な生活の中の自然と、遠いところにある大きな自然の、ふたつの自然の大切さ。私にとって星野さんの本は大きな自然を実感させてもらえるものです。この地球のあちこちで、今まさに様々な命が躍動し、アラスカのように寒い場所でも人が暮らしているのだと想像すると、凝り固まった心がゆるっとほぐれていくよう。語り口そのままの文章が穏やかに心にしみました。2019/02/10
ユメ
61
星野道夫さんの写真集に出会ったのは、小学生の頃だった。写真の美しさはもちろんのこと、添えられた短い文章に子供なりに目一杯惹かれて、書き写していたことを覚えている。彼の魔法にもう一度かけられたくて、この本を手にした。私がここでこうしている今この瞬間に、アラスカの海でザトウクジラが跳び上がっているかもしれない。そんなことを想像する力をすっかり失っていた。私の掌で地球は勝手に小さくなっていたことを思い知る。魔法とは何か特別な言葉ではなく、宇宙の中心がどこにでもあるということを知っている人が使えるものだったのだ。2015/06/16
キジネコ
58
古くからの友に会う様な読書体験です。星野さんが極北で体験した様々を聴衆に語り掛けます…私も一人の聴衆として既知の逸話を改めて味わいます。蘇る感動が新鮮さを失わないのが嬉しい。文語ではなく語り言葉で綴られた10の講演録。ブルーベリーを夢中になって摘む人と熊が頭をぶつけるまで気が付かない話が一番好きです。地平線に現れるカリブーの点影が続々視界を埋め尽くす大集団に様変わりする話も大好きです。私達が棲む二つの時間・空間… 生と死の循環、圧倒的な自然を思う。冬のマッキンレーに向かう狼の足跡は私の胸に勇気を点します。2020/02/19
おさむ
52
僕らは二つの時間を持っている。いろんなものに追われて生きている時間と、悠久な流れの時間。自然にも身近なものと、遠いものがある。このことを思い起こす想像力を、僕たちに与えてくれる星野さんの講演集。カリブーやクジラ、クマ、オオカミたちと共に生きるアラスカの生活の素晴らしさをじんわりと教えてくれます。2016/08/16