出版社内容情報
江戸市中に爆弾を仕掛けた可楽、彰義隊士、判事補の経歴をもつ遊三──江戸から明治に変わる時代の波に翻弄された噺家を描く中篇
内容説明
旗本の家に生まれ、落語家になったが、江戸市中に爆弾を仕掛けたことから捕えられ獄死した三笑亭可楽。徳川御家人で彰義隊に参加したあと、判事補になりながら、落語家になった三遊亭遊三。幕末から維新にかけて、“時代”の波に翻弄されながら生きた風変りな異色落語家の生涯を描く著者会心の中篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドナルド@灯れ松明の火
17
幕末から明治にかけての落語家二人の人生を描く。共通点は彰義隊である。通称爆弾可楽「三笑亭可楽」官軍と会津藩の間に追い込まれ爆弾を仕掛けた可楽、噺家をやめ明治新政府に雇われたものの失職し落語家に戻った「三遊亭遊三」。実話に杉本さんの脚色を加えたであろう、この2作は明治初めの世相を浮かび上がらせている。2016/11/27
タツ フカガワ
8
中編2話を収録。どちらも幕末から明治にかけて徳川家御家人から落語家になった異色の人物。ひとりは新政府に抗って江戸市中に爆弾を仕掛けたことから、のちに爆弾可楽と呼ばれた四代目三笑亭可楽。もうひとりは彰義隊士~商店手代~官員~口入れ屋~落語家と腰が落ち着かないところから、ふらふら遊三と呼ばれた初代三遊亭遊三。時勢に翻弄された二人の対照的な生きようが面白い。どちらも落語の一節が効果的に使われていて、後者は「よかちょろ」を演じるところで終わります。2019/10/29
みっくん
2
幕末から明治にかけての落語家さん、しかも武家上がり。なんだって、この人は、こうもマイナーなネタをうまく描くのだろう。面白いです。2022/08/04
ぺしみち
2
登場人物の名前がころころ変わるから分かりにくかった。2017/12/09
seiji3982
2
2時間5分で読了。2011/05/02