出版社内容情報
官僚主義と拝金主義を嫌った漱石は、現代日本の抱える問題を鋭く予言していた──。知られざる文豪の素顔を軽妙に綴った随筆集
内容説明
明治という時代に生きた漱石は、官僚主義や無批判な西欧志向、拝金主義に対して、断固として「ノー」と言い続けた人だった。誰もが読んだ『坊っちゃん』や『草枕』の世界を縦横無尽に飛び回って得た文豪に関する“新発見”をユーモラスに描く。漱石文学に新しい読み方を提案した著者の、好評エッセイ第二弾。
目次
第1話 主人、大いに頑張る
第2話 十七文字の世界から
第3話 美禰子の亭主
第4話 「明治の東京」の街角で
第5話 言葉の達人ということ
第6話 『坊っちやん』への旅
第7話 「時代」を批判する人
第8話 画がわかる、わからない
第9話 「主義の問題である」
第10話 ある日の漱石山房
第11話 『草枕』への旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
23
【再読】文庫本は行方不明。前作の内容はすっかり忘れてしまったが、この後に続く『漱石先生お久しぶりです』を読みたいがため、古書の単行本を購入し再読。漱石の義理の孫という立場と、自称歴史探偵という役目を存分に発揮し、素顔の漱石を綴る。気難しい漱石……その裏には漱石の中に一本筋の通った主義があったのだ。だから、『坊つちゃん』創作の裏に帝国大学でのすったもんだがあったことが知れて、たいへん興味深かった。ますます漱石が好きになった。2025/10/31
スエ
2
続編もやはり愉快痛快。後書きで久世光彦が、著書の半藤一利のことを「芋蔓式の探偵」と評しているが、なるほど納得である。読んでるこっちも芋蔓式に引き込まれていってしまう。漱石が切り開いた土地には、まだまだ計り知れないほどの芋が埋まっているのであろうな。2015/07/26
Masato Ata
0
半藤さんの漱石ウラ話随筆の続編。前作もそうだったけど、これも漱石に興味なく、漱石作品に親しんでない人には全く価値のない本。でも逆に漱石が好きで、漱石作品を読み尽くした人にはいとも楽しいヨタ話集だ。いや、ヨタとは失礼か。漱石の義理の孫という立場を最大限に活用して、漱石の日常の様子に関わるウラ話や、如何に漱石が体制側の圧力や、日露戦争戦勝後のまやかしの日本軍国礼賛に対し強烈な反発を持っていたかを生き生きと教えてくれる。今の平成同様、当時は国家が国民をミスリードしていたのだ、という作者のメッセージが痛烈だ。2016/08/29
もくもく
0
漱石先生を取り巻く友人や門下生たちの性格や人間関係も、だいぶ馴染んてきたような気分です。2012/12/20




