出版社内容情報
大きくもない体、肩の脱臼癖、さまざまなハンデイを乗りこえて大横綱になった男の苦闘と栄光を角界通の第一人者がいきいきと描く
内容説明
目がランランと輝くので渾名が“ウルフ”。体は小さいが足腰のバネは抜群で怪力の持ち主。東京見物という話につられて九重部屋に入門した貢少年が、骨折や脱臼のために番付を上ったり下ったりの苦難の末に稀代の名横綱千代の富士となるまでを、千代の山、北の富士という二人の師匠の生き様などもからめて描く相撲小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あらあらら
6
千代の山、北の富士、千代の富士の3世代の師弟の物語。千代の富士が一代年寄を断ったから今も九重がある。2021/01/17
あかつや
6
相撲小説だそうで。伝記でないのは天で見守る親方たちが会話してたりするからかな。千代の富士は物心がついた時にはすでに圧倒的な強さだったので、それなりに苦労をしてきたんだなあと当たり前のことを思った。というか私の中でその強さはすでに神話の登場人物みたいなもんで、場所中の1敗2敗という記述にも、そんなことあったっけって感じてしまう。なんなら貴花田に負けるまで全勝でも不思議じゃないくらいのイメージだ。そういえば貴花田に負けて引退というのは、神話でいわゆる「王殺し」ではあるな。まあこの手の世界ではよくあることだが。2019/08/20
左近
0
1983年の本に加筆し、1991年に改めて出版されたもの。自分が幼い頃、TVの前に正座して応援し、土俵入りや塩をまく仕草も“完コピ”するくらいに憧れた、相撲史上に残る大横綱、千代の富士の力士人生を、師匠である千代の山と北の富士のヒストリーも絡めながら描く。いくつかのスキャンダルの概要を、本書で初めて知ることができた。シゴキを容認したり、難病に対する理解に欠けているのが、時代を感じる。北の富士は随分と愉快な人のようだが、その一方で、怖い世界の方々ともつながりを持っているのが、興行の実態を示している…2014/06/25