内容説明
手話通訳士試験に合格し、福祉事務所の嘱託となった小早川京子は、初仕事で殺人事件の容疑者の通訳を任される。取調室の老女は筆談にも手話にも答えない。無力感に苛まれた京子は、十津川警部らの捜査に疑問を投げかける弁護士とともに事件の真相に迫る。ろうあ者と健聴者の深い溝を描く感動の長篇ミステリー。
著者等紹介
西村京太郎[ニシムラキョウタロウ]
昭和5(1930)年、東京生れ。陸軍幼年学校で終戦を迎えた。都立高校卒業後、人事院に十年余勤務。作家をめざし多くの職業をへて、38年「歪んだ朝」で第2回オール讀物推理小説新人賞を受賞。その後40年に「天使の傷痕」で第11回江戸川乱歩賞、56年「終着駅殺人事件」により第34回日本推理作家協会賞(長編部門)、平成16年に第8回日本ミステリー文学大賞などを受けている。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドシル
10
西村京太郎作品。十津川警部がろう者の容疑者やろう者の弁護士と向き合う作品。1990年から1992年に「季刊みみ」に連載されたと言うから驚き。 手話通訳士試験が始まった草創期で、作中にも手話通訳士が出てくるが、倫理綱領ができる前なのかなんとも今では考えられない(・・;) 守秘義務違反はやらかすし、「同じ穴のむじな」と言う慣用句の意味がわからないし、手話通訳としてどうなのっと思ってしまった(笑) あと、せっかくコーダの通訳士なのにコーダが活かされていないのは時代なのかな。『四つの終止符』も読んでみたい。2018/08/15
ビスコ
7
読メに登録するより昔に一度読んだ。で、今回「四つの終止符」を読んだので再読。 「四つの終止符」のアンサー編とも「続編」とれる作品。四つの終止符同様、ろうあ者とそれをとりまく社会を題材にした作品。登場人物からろうあ者への対応も、四つの終止符よりも理解されている。 今では、一応発声ができる人が増えているorでしゃべれることから「ろう者」と呼ぶのが一般的。にもかかわらず、発声できると書かれている関口も「ろうあ」表記なのは時代背景かしら。2017/04/06
Mayu
6
殺人事件の犯人として捕まったろうあ者の老婆が黙秘を続けるにあたり、十津川警部、同じくろうあ者の関口弁護士、手話福祉人の女性が真相を探るという設定は面白いが、深みが足りない。手話福祉人の口調「〜ですわ」もやたら気になるし、会話内容も幼稚に感じる。2018/05/10
fumikaze
6
主人公の女性がエニアグラムタイプ9を連想させて心が重くなった。彼女は殺人犯の容疑をかけられても自分の殻に閉じ籠ったまま、一言も口を開かない。だから、弁護士達も彼女を救うことが出来ない。それが、最後になって、大切な息子を救おうとして彼女は立ち上がり心を開く。人生を諦めて無反応になっていた人が、愛する者を救うために心を開き始める。ここのところで、私は思わず泣いてしまった。タイプ9が行動するには、その人にとって本当に大切なものは何なのかをハッキリさせる事が重要。2017/09/04
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
4
2009年 7月10日 初版2019/01/16
-
- 電子書籍
- ヴェクサシオン~連続猟奇殺人と心眼少女…
-
- 和書
- わたしのグランパ