内容説明
高い理想を目指しつつ、自らの情熱に翻弄されて生きた父・佐藤紅緑。センチメンタルでエゴイストの詩人の兄・サトウハチロー。世の規範から脱線して波瀾の日々を送りつつも魅力あふれる一族の情熱と葛藤を、資料と共にたどる一冊。小説『血脈』執筆にまつわる講演や対談・エッセイの他、貴重な写真、年表や系図なども満載。
目次
1 「血脈」を語る
2 「血脈」の完成
3 「血脈」アルバム
4 「血脈」の周辺
5 「血脈」と私
6 資料
著者等紹介
佐藤愛子[サトウアイコ]
大正12年大阪生まれ。甲南高女卒業。戦後、「文芸首都」の同人となり、小説を書き始める。昭和44年「戦いすんで日が暮れて」で第61回直木賞を、昭和54年「幸福の絵」で第18回女流文学賞を受賞。ユーモアにいろどらられた世相風刺と、人生の哀歓を描く小説やエッセイは多くの読者のこころをつかむ。父の作家・佐藤紅緑、異母兄のサトウハチローを始め、佐藤家の人々の凄絶な生の姿を描いた大河小説「血脈」の完成により、平成12年第48回菊池寛賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ソープ
5
『血脈』の舞台裏、総集編、作家の気持ちなどなど。『血脈』を読み終わってのまとめとして面白かった。そして私にはこの本に収録されているの多くの映像(血脈に興味をもった方にはオススメ)が興味深かった。2019/02/19
菊蔵
5
血族を読まずにこちらを先に読んだ。佐藤愛子さんは幼少時からエッセイを愛読していたが(母の本棚にたくさんあった)彼女のルーツなどあまり考えたことなくここまできてしまった。この前、何十年振りに「九十歳~」を読んで、変わらぬ明快な文章に惚れ惚れしたのをきっかけに、こちらの本を購入して読んでみた次第である。今度時間を作って「血脈」を読みたい。12年、コツコツ記した一族の鎮魂小説。今からもう楽しみでならない。2017/01/09
駄目男
5
「血脈」に登場した佐藤一族の写真をどうしても見たくて買った本。 写真を凝視していると佐藤家の滅亡を見続けてきた著者の哀しみが伝わってくるようで、こちらまで万感胸に迫る思に駆られた。 「血脈」の素晴らしさは、壮絶な人生を語るわりには笑いのエッセンスが随所にあり読者をして惹き込まれる要素がある点だ。 フィクションと事実の繋げ方が見事で流石に12年と3400枚の大作だけあり、お見事と言うしかない。 壮絶な人生を送り続けた佐藤家の人々に対し愛おしささえ感じる本だった。 2014/02/12
バーベナ
5
写真が豊富。紅緑は苦悩しているような苦みばしったお顔に見えて意外。舞台のシナも綺麗。サトウハチローの妻たち、るり子・蘭子の姿もある。佐藤家の人々に合掌。2013/06/05
ちゃとら
3
以前、「血脈」を読み、この本にも興味津々だった。最近話題の「90歳何がめでたい」の佐藤愛子さん。お兄さんは、かの有名な作詞家の佐藤ハチローさん。まあ、個性爆発、波乱万丈、すごい家族です。佐藤家は。天才なのかな〜、紙一重の人たちも沢山いたみたい。2017/01/25