内容説明
利権の聖域、日本道路公団の民営化に、民営化推進委員会委員として取り組んだ猪瀬直樹。本書は、『道路の権力 道路公団民営化の攻防一〇〇〇日』に続き、五年間にわたった戦後最大の改革の内幕を冷徹な筆致で描写した完結篇である。民営化は我々に何をもたらしたのか、その答えがここにある。田原総一朗氏との対論を特別収録。
目次
第1章 分裂―二〇〇二年
第2章 抵抗―二〇〇三年1
第3章 謀略―二〇〇三年2
第4章 決断―二〇〇四年1
第5章 追跡―二〇〇四年2
第6章 摘発―二〇〇五年
終章 決着
対論 ほんとうの「抵抗勢力」は誰か(猪瀬直樹;田原総一朗)
著者等紹介
猪瀬直樹[イノセナオキ]
作家。1946年、長野県生まれ。『天皇の影法師』(83年)をはじめ、『日本凡人伝』『黒船の世紀』『ペルソナ―三島由紀夫伝』など多くの著作がある。『ミカドの肖像』(86年)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『日本国の研究』(97年。文藝春秋読者賞受賞)は、政界の利権、腐敗、官僚支配の問題を鋭く突き、小泉首相から行革断行評議会委員、道路公団民営化推進委員に任命される契機ともなった。メールマガジン「日本国の研究」を主宰、政府税制調査会委員、東京工業大学特任教授など幅広い領域で活躍。2007年6月、東京都副知事に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さっと
8
『道路の権力』の一部増補、後日譚。税金を人の財布のように使う無神経さ、そこに群がる利権を暴く一方、ゼロか100かで国民にわかりやすく単純化して伝えてくれるメディアの問題点も指摘。長年の労苦がしのばれる。2017/11/26
jiangkou
6
道路の権力の後日談。民営化委員会で基本方針でたあと丁度選挙が入ったので国交省がたたきの法案を出さず有耶無耶にしようとする様子、民営化委員会も結局鉄道屋と鉄鋼屋と税金投入派が折合わず皆やめていき猪瀬氏ともう1名のみのこり法案たたきを監視するという話。道路の権力から新しい話はないが、どう決着したか読む話。道路公団も保養所、宿舎をもってしかもむやみやたらに発注していたのは厚生省と同じ。予算執行はどうしてもこうなるのね。2019/04/15
glaciers courtesy
2
道路公団民営化の経緯を委員会の迷走、スッタモンダと共に異常に詳しく書いてある。良くもまぁ、これだけの詳細な事実を記録できたものだとひたすら感心するしかない。これは猪瀬直樹自身言うの「歴史がどうつくられるか、たぶんそれはいかに記録されるかで左右される」という強い信念に支えられているのだろう。しかし、評論家・作家なのに、猪瀬直樹の最後まであきらめずにやり遂げる意志・力はどうだろう。時にはフィクサーと呼ばれるような動きさえ行って、道路公団民営化をやり遂げた。根性無しのサラリーマンの僕はただただ平伏するしかない。2011/01/22
亀井享
1
猪瀬サン…なかなか大変だったんですね(笑) 民営化後だいぶ経った今だから 何が正しかったか… 何が失敗だったか… 興味深いです 2021/01/26
やす
1
う~ん。読み物としてはおもしろかったが、自分が正しい、正義なんだという思いが強すぎて、説得力に欠ける。著者のその後を知っているからなおさらかなあ。 道路公団系の本をいくっか読んで、問題が山積していたことがよく分かった。2021/01/05