文春文庫<br> 牡牛の柔らかな肉

文春文庫
牡牛の柔らかな肉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 529p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167420123
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

行き場を失った男たちが一人また一人と津和野の尼、香順の庵へ……。男たちを操って大金を手にし、参院選に立候補する香順の狙いは

内容説明

「剃髪前の私は本当に恐ろしい顔で一人の男の命を死にまで追いつめた、人殺しと変わりない女なのですから」。謎に満ちた過去を墨染めの衣の下に隠す美しき尼・香順。愛を失い、社会に居場所をなくした男たちを意のままに操る彼女は救世主か、それとも希代のペテン師か。万華鏡のごとき目眩く展開の会心作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

読書のお兄さん

8
まったく前情報なしに読んだ本であるがゆえに、なかなか面白く読めた。妙齢の美人尼香順の庵に集う、歳も職業もばらばらの落ちこぼれ男たち。彼らを魅了し翻弄する香順尼、大胆不敵に人を騙し、嘘が嘘でどんでん返る。魔性の尼は果たして仏の使いか地獄の使いか、その目的とは一体!?長い小説だが、前半と後半で大きく趣が違うので飽きることはない。2018/11/15

青豆

4
謎に満ちた過去を墨染めの衣の下に隠す美しい尼・香順。彼女に惹かれ彼女の庵を訪れる男たち。生活に疲れ行き場を失った男たちの駆け込み寺と化した庵で、男たちを意のままに操る香順の魔性と彼女を取り合う男たちが繰り広げる嘘で彩られた世界が万華鏡のごとく展開される。この香順という尼さんは本当に恐ろしい。畳み掛ける様に次々と「どんでん返し」を仕掛けてくるのは流石連城三紀彦さん。2014/04/27

浅木原

2
再読。これを読む人に伝えるべきことは「三章ずつ読もう」ってことだな、うん。長編としては中盤のコン・ゲーム編が一番面白くて(特にヤクザとの対決が一番盛り上がる)、ラストの香順の過去がここまで引っ張るほどのものでないという問題はあるけども、悪女ものでありコン・ゲーム小説であり新興宗教小説であり、と色々詰め込んだ二転三転の連城流エンタメの快作であるのは間違いない。だいたい三部に分けられるという長編という意味では『褐色の祭り』の直系か。僧侶・連城三紀彦の作品という意味では『愛へのたより』と併読するのも面白いかも。2014/11/10

浅木原

2
『花塵』みたいな悪女が男を翻弄する話かと思ったら「新興宗教をつくろう!」みたいな展開になって、『仮想儀礼』が始まるのかと思えばまさかのコンゲーム小説になり……と話が二転三転する長編。読者はひたすら予測不可能の展開に翻弄されることに。ただ、何しろ連城三紀彦なので、スピーディに読みたい展開なのにスピーディに読ませてくれないのがこの場合は裏目に出た印象。その上話がひたすら七転八倒するので、尼さんの過去という最大の謎がラストの謎解きの頃にはどうでもよくなってしまうのが難。付き合うにはいささか体力のいる小説ですわ。2014/06/13

おたま

1
さすがは連城さん!前半の連作短編集のような歯切れの良い部分から、後半のまさに「やられた!」という「どんでん返し」まで、例によって気持ちよくだましていただきました。いつもながら他の追随を許さない美しい文章も健在です。2012/10/20

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