出版社内容情報
平凡で退屈な夫の恐るべき過去を知り、妻は初めて死んだ夫に興味を抱く。二十年後、息子は父と酷似した人生をたどる。問題の長篇
内容説明
律子は夫の隠された過去を知り、はじめて死んだ夫に興味と嫉妬を抱く。かつて夫と姑の間に存在した歪んだ母子関係は、やがて息子響一を常軌を逸した育て方で、夫の完全なる模造品へと作りあげていく律子と響一の間で繰り返される。響一は父と酷似した人生から逃れられない自らに気づく。問題の長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青沼ガラシャ
3
前半は連城特有の比喩を多用した文体が野暮ったく冗長。どんでん返しが集中しているが、どれも行き当たりばったりで書いている印象。後半は比喩が減りスピード感が増すが、とある理由で何が起こるか予測可能なだけにスリルがない。更にはサイコサスペンスというには事件が地味でセコい。中々誉めるのが難しい作品。2023/10/31
kaikoma
2
血縁は大切ですが、それ故に時にはその余りの重さに時に呆然とすることが有ります。自分が親になって、子供に自分の価値観や良しとする行動を激しく押し付けているのではないかと考える事が増えました。子供は自分とは別人格だと認識する事の難しさに気付きます。2016/07/14
浅木原
2
夫が死んでから彼を愛した妻が息子を夫そっくりに育てようとする話。解説で香山二三郎が本作をサイコ・スリラーに分類してるけど、え、連城作品ではこのぐらい普通じゃね?(感覚の麻痺) 平凡な男としか思っていなかった夫の正体を妻が知っていく前半から妻の狂気がクローズアップされる中盤、そして後半のタイムリミット・サスペンスまで文庫上下巻700ページ超を一気呵成に読ませる。後半のサスペンスがやや長いかなという印象はあるけど、ミステリーと恋愛小説、サスペンスの手法を景気よくぶちこんだ連城流エンタメの快作。面白かった。2014/09/03
Jimmy
0
最後が残念でした。混迷を深める上巻のあと、下巻は割と分かりやすいというか落ち着いて物語の面白さに没頭でき、これはなかなかの傑作!と感じ入っていたのですが。ラストに向けてがダラダラしてます。ある意味、ほとんどラストにいたっては展開が読めているわけで、もっと跳ぶ様にスピードを出してラストまで行って欲しかった。でも連城さん、さすがです。2008/01/09
りりぃママ
0
☆☆☆☆☆1998/01/10