出版社内容情報
さまざまな情事を仕組むことで、妻を自殺へと導く男の奇妙な心理を追う表題作ほか、男女の関係をミステリアスに描いた三篇を収録
内容説明
妻と別れる方法は離婚だけではない。情事を仕向け、妻を追いつめ自殺へ導く男の心理（「夜のない窓」）。別れた女が自分の親友と結婚する一週間前に、「もうひと晩、今夜だけ」といってきた。その夜の三人それぞれの思惑（「今夜だけ」）。ほかに「午後だけの島」「山雀」、男と女の間の奇妙な心模様を描く作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
69
浮気するのが怖くなる短編四編。連城さんにしては淡白な文章で捻りも控えめだけど、それでも充分濃くてしつこい（褒め言葉）。相手を操ろうと企む男女の駆け引き。自分の意思で行動しているつもりでも、実は操られているだけだったら怖すぎる。夫の会社の人脈から愛人まですべて管理する妻の話が面白かった。凄腕の操縦ぶりと迫真の演技に思わず笑いが漏れる。ブラックユーモアが効いていて楽しめた。2018/03/01
KAZOO
33
連城さんお得意のどんでん返しがあるのかなと思ったのですがさほどないような感じです。4つの話が入っているのですが、操られていると思っていたら逆に操っていたりというくらいの話はありますので結構楽しめました。やはり男の心理よりも女性の心理を書かせるとうまいと思います。2015/02/28
つちっち
19
初連城。『今夜だけ』2人の正反対の男が選ぶもの。『午後だけの島』洋子の掌の上で。『夜のない窓』男運のない彩子。『山雀』籠の中の久子。短編の名手とゆうことで初めての連城さんに選びました。確かにロジカルな構成と一捻りあるアイデアは短編の人向きらしいと感じました。そして、出てくる男がみんな惨めだなぁ立介も一利でさえへもそう思う。たぶん中の２編が連城さんぽい？のだろうけど、好みは『山雀』。恋愛にかけ引きとかはない方がいいかな。男女のない短編があれば読んでみたい。2021/03/12
*Nimi*
16
全４編短編集。 『男と女の間の奇妙な心模様を描く作品集。』とは穏やかな言い回しの紹介文に過ぎず、相手の心の奥底を探りつつ先を見越して行動や言動に移す、正に心理戦を駆使した男女の関係が描かれていました。自分が操ってる様でいて、実は相手から全て意図的に操られている。凄く凄く自然的に…。 特に『午後だけの島』『夜のない窓』は恐ろしく、その、後味悪い恐ろしさが面白かった。2016/09/12
おくしょー
6
連城さん3作目。面白かったー✨不倫をする男と女のヒューマンミステリー。浮気をされて可哀想……と思いきや、その涙も演技、実はこっそり旦那の愛人まで手懐けて全てを操っている妻。妻の一度の裏切りが許せず、許したフリをしながら男を仕向け、振らせ、失意で自殺させようと追い込む夫。結婚て何なのよ、と思ってしまう短編だけど、たまらなく好き！連城作品の女性は皆したたか。「午後だけの島」はその極み。表題作は秀逸。どんでん返しありで面白かった。2020/01/15
