文春文庫
青い空〈上〉―幕末キリシタン類族伝

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  • サイズ 文庫判/ページ数 431p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167414122
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

幕末、キリシタン類族として差別される青年が江戸へ向かう。青年が見た仏教の堕落と明治維新の矛盾・・・。 各書評大絶賛!日本人の信仰心を問う時代小説の傑作、遂に文庫化。

内容説明

江戸時代、キリシタンは改宗しても幕府の監視下にあった。幕末に生きる主人公・宇源太も五代前の祖先が信者だったため、監視を受け、苛酷な生活を強いられていた。友人が殺されその敵討ちを果たした宇源太は、村を出て江戸へ向う。江戸で剣術を学び、尊敬できる宗教家と出会った宇源太。しかしそれは、新たな悲劇の幕開けだった。

著者等紹介

海老沢泰久[エビサワヤスヒサ]
昭和25(1950)年、茨城県生れ。国学院大学卒業。同大学折口博士記念古代研究所勤務ののち、著述に専念。63年「F1地上の夢」で新田次郎文学賞受賞。平成6年「帰郷」で直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ntahima

41
『切支丹はたとえ改宗しても許さず、本人の生前は勿論、死んでも五世代後の子孫まで監視するという切支丹類族令・・』切支丹類族をテーマとした珍しい作品。遠藤周作の「沈黙」のような陰鬱かつ悲痛な作品と思いきや山本周五郎の傑作「さぶ」を思わす乾いた筆致であった。時代は江戸末期で、維新宗教裏面史とも言える。明治維新と言えば司馬遼太郎であるが、本作にも余話としての作者語りが頻りに顔を出す。話の流れが切れると嫌う読者もいるが、司馬遼ファンの私にはそれも心地良い。〈倒幕〉ならぬ〈倒仏〉という言葉を初めて知った。快調に下巻へ2011/02/28

はま

17
ハーさんに借りた本。海老沢さん初読み。古文漢文歴史的仮名遣い、読むのに一苦労です^^;でも大丈夫、大変面白くて報われます。切支丹、仏教、神道がややこしく入り組んだ幕末の様子が分かりやすい。史実に名を連ねる人たちの中に宇源太や塚本彦弥らを上手にねじ込んでます。全部史実かと思えちゃう。ハーさん本にハズレなし!下巻も楽しみ!2013/10/04

三柴ゆよし

4
8月13日、海老沢泰久先生が十二指腸癌のため逝去された。享年59。海老沢先生は恩師である。ぶっきらぼうだが、あたたかい人であった。謹んでご冥福を申し上げる。最後にお会いしたときの先生は、別人のように痩せておられた。胃と胆嚢を切除したと聞いた。点滴を引き摺っていた。喫茶室で雑談した。先生はなにも飲まなかった。煙草もやめていた。そのときが最後であった。お話したいことが山ほどあった。悔しい。訃報に接してから、何度も本書を手に取った。読めなかった。いま、少しずつ読み進めている。感想は下巻で。2009/10/05

みっちゃん

3
キリシタン類族、とされた人達について全く知らなかった。五代前の先祖がキリシタンだからって、死者を葬る事も許されず、生活にも厳しい制限があったなんて。江戸時代の身分制度って、想像以上に厳しい。主人公はいい人にあって、泥沼からはひとまず抜け出せたかに見えるが、さて下巻は如何に?2014/12/21

Maxie

3
江戸時代の寺院と僧侶に都合のいい寺請け・檀家制度が現代の葬式の在り方の基盤になっていることがよくわかった。主人公の逃亡や別人に成りすまして生きるあたりは、「レ・ミゼラブル」を彷彿とさせる。説明箇所が長いが娯楽性もあり、読んでいて飽きない。ただし、作品中のキリシタン教理には誤りもある。コンフラリアはミサを上げられないし、イエスには神性がある。2012/07/11

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