出版社内容情報
排泄行為、排泄物に対する考え方は世界の地域により、民族によって実に多様である。それらの文化を探り、歴史をたどる楽しい読物
内容説明
排泄物や排泄行為への対し方は、その文化によってさまざまである。他人と並んで楽しく行うやり方もあれば、絶対に見られまいとする人たちもいる。そもそもなぜ人類は拭くようになったか、からトイレの歴史、糞尿の利用法など人とこの排出物の長いつきあいを愉快で意外なエピソードを交え、ウンチクをかたむけて考察する。
目次
文明と文化について
排泄行為と羞恥心について
清潔感について
お尻を拭く話
極寒の世界で
トイレの変遷
石の文化とトイレ
糞尿の利用法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
デビっちん
13
自分が属する文化を考える材料として、生命体のもっとも基本的な行為である排泄を切り口に糞尿に関する文化を縦横に見ていく内容でした。多種多様な排泄行為を通して見えてきたのは、はじらいや羞恥心、清潔・不清潔は、それぞれの分化において独自に展開、表現されるものでした。地域によって異なるだけでなく、時代によっても変化していました。糞尿の利用方法を見ると、古き日本はその循環の恩恵を受けていました。糞尿から化学肥料になって、野菜の味が薄くなっているようです。+当たり前にすることを比較して見えてくるモノは?2017/01/24
とんかつラバー
12
著者名で海外作品と思ったらバリバリ日本育ちの方だった。親父ギャグを交えつつ軽快な文章で読みやすい。食べ物の情報はTVにもネットにも溢れているのに排泄物に関しては特殊な嗜好を除けば皆無。しかし人のある所にうんこありけり。かつての鉄道や飛行機のトイレはマンパワーの涙ぐましい努力によって成り立っていた。今も下水はタンカーで太平洋まで運んで捨てている。途中の尿飲み健康法や糞尿漢方は読んでて気持ち悪くなるが、人口増加、食糧不足を考えると日々大量発生する屎尿と人類は向かい合わねばならない2024/11/30
澄
11
すっかりウォシュレットに慣れ親しんでいる環境ですが、以前中国にいた頃は敷居のないトイレでも気にせず(勿論初めは抵抗感ありましたが)用がたせていたことを思い出しました。文化度・文明度というよりは生活環境の変化次第で人は変化するのかな、と思ったり。2017/08/19
エル
6
すっっごく面白かったです! 人間なら当たり前の排泄行為、世界のトイレ、排泄ってどうしてるの?屎尿の使い道、鉄道や飛行機のトイレの歴史、屎尿の行方… 読み応えあります。誰も教えてくれない排泄とトイレの世界。レバー一つで目の前から流れ去るモノは消えるわけではないことを教えてくれますヨ。2020/03/24
★★★★★
6
著者はイヌイットを専門とする人類学者。古今東西の排泄文化を紹介しつつ、「文化」を考えるための基礎を一般読者に向けてさりげなく説いた本です。それにしても、いくら帰化しているとはいえ、この人の日本語の上手さには目を見張るものがありますね。2010/05/04