出版社内容情報
落城に伴う殺戮と自刃の恨みも消えやらぬうちに斗南移住の命令が下った。東京に残って西南戦争に加わる者、北海道へ流れてゆく者。家族相見ゆる日はいつくるのか
内容説明
会津落城にもとなう殺戮と大量自刃の恨みもいまだ消えやらぬうちに、さらに苛酷な運命が藩士と家族を襲った。青森県斗南地方への移住である。二十三万石の大藩から実質六千石の酷寒荒蕪の地へ、さらに遠く北海道へ流れて行く者、西南戦争に加わる者、ふたたび家族相見ゆる日は果していつ来るのだろうか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
4
斗南藩とは戊辰戦争で敗れ青森の僻地に移封された会津藩のこと。つまりは、敗者の立場で新時代を迎えた会津藩士らの過酷な戦後譚である。主人公は幕末の会津藩内に組織された朱雀隊の一員だった荒垣多四郎。かれの目を通して、一通りではない受難の道をたどる会津藩士らの姿が描かれる。反政府組織に身を投じるもの、北海道の地で再入植をはかるもの、生活のために遊郭に身売りするもの、新政府の尖兵となって不平士族の鎮圧にあたるもの、留学生となり新時代の担い手となるもの、流転する主人公と絡めて、よくまとめられている。公平な視点も秀逸。2013/04/12
よっちゃん
1
やはり大きく時代が動いた幕末から明治にかけての話は今では想像もできないようなことが起こっている。会津の人々の苦難。西郷隆盛の晩年。この時代はいろんなことがある。大変革を達成するためには戦争で決着を付けなければならなかったのだろうと思うがどんな理由でも戦争は悲惨すぎる平和な世界を作らなければとしみじみ思う。2015/01/18