内容説明
戦争前、画家の長男として生活していた著者が、日々送った東京の食卓の風景。陸軍に召集され、入営初日に経験した新兵メシ。大陸へ渡り、一兵士として食べた前線での食。戦争末期、フィリピンの小島でのミミズやヤドカリまで食べたサバイバル。懐かしくもあり、二度と体験したくないものもある、食にまつわるエッセイ集。
目次
海鼠
助惣鱈
尾頭つき
お焦げ
変なものを食うと
米のめし
鯨鍋
フロマージュ
麻婆豆腐
煎じ蚯蚓〔ほか〕
著者等紹介
池部良[イケベリョウ]
1918年東京大森生まれ。映画俳優・エッセイスト。1941年立教大学文学部英文科卒業、と同時に東宝文芸部に入社、島津保次郎に見いだされ、俳優に転向。同年7月「闘魚」で映画デビュー、戦前戦後を通じ二枚目スターとして活躍。俳優はもとより、名エッセイストとしてもつとに有名。現在も新聞、雑誌にエッセイ、コラムを書き続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こばまり
54
面白かったという記憶だけを頼りに【再読】。所謂グルメエッセイと異なり、戦争体験を筆頭に食べ物に関する恨み節の方が多い。しかし、むやみに失神するのはどうしたことか。甘過ぎる卵焼きで失神、マヨラーを前にして失神、ホヤ食って失神。都度昏倒しているとは信じ難い。もしやギャフンと同意語か。2017/05/03
ようはん
20
昭和の名優であった池部良氏の食エッセイ集で大まかに戦前・戦中・戦後の3つに分かれる。南方のフィリピンの島で飢餓に悩まされてミミズやヤドカリをも食した戦中の話がその過酷さ故に印象に残るが、復員後の田舎にて人乳を飲んだ話や江戸っ子気質の父親の歯に衣着せぬ言動も中々印象深い。2024/08/28
ovonkovon
5
名優・池部良の食い物エッセイ。漫談かってくらいテンポがいい。あさはか(失礼)なんだけど妙に筋が通っていて、喧嘩っ早いようにみえておっとりしている。戦時中にはミミズまで口にしたのに、不味いものを食わされると記憶が飛び、活け造りにされる魚の苦痛を思っては失神する。ふぐ刺しの弾力=「観音様の縄跳び」とか、 表現も面白い。といっても、グルメな話よりは、精神論の支配する軍隊生活や飢餓などエグい体験談が多めなのに、こうも軽やかなとこにかえって凄みを感じる。2016/06/04
Chikabono
4
戦争中の酷い食生活が綴られているが、同じ事が何度も出てくる。。著者が俳優とは全く知らずに読んだ。2025/02/10
おぎゃ
4
「大学へ入学した翌年、二・二六事件が起きた」「パリのレオナール・フジタからめちゃくちゃ臭いチーズが送られてきた」など良エピソード満載。2018/06/01