内容説明
「鳥居の赤兵衛」は大盗賊の活躍を描いた貸本屋限定・十巻ものの手書きの読本だ。滅法面白いと評判だが、貸本屋の急死と同時に紛失した。続きを読みたい清元の師匠・閑太夫は、この読本に秘められた秘密を探るが…。表題作など、色黒でぎょろ目の辰親分が鮮やかな十手捌きを披露する人気捕者帳シリーズ八篇。
著者等紹介
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
昭和8(1933)年、東京生れ。本名、厚川昌男。九段高校卒。紋章上絵師、作家。43年、奇術で石田天海賞を受賞。51年に「DL2号機事件」で第1回幻影城新人賞小説部門に佳作入選。53年、「乱れからくり」で日本推理作家協会賞を、57年には、「喜劇悲奇劇」で角川小説賞を受賞。63年に「折鶴」で泉鏡花賞、平成2(1990)年「蔭桔梗」で第103回直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
57
面白かったです。紋が絡む話が多いのは、時代背景ならではでしょうね。江戸時代の時代考証も見事で生き生きと辰親分がその手捌きを見せてくれます。捕物帳ではなく、「捕者帳」としている遊び心も気に入りました。2020/12/09
あかぽち
16
宝引の辰親分が江戸で起きる事件を解決していく短編集。銭で作られた独楽の意外な価値が分かる「優曇華の銭」や騙しあいが楽しい「黒田狐」など、時代背景も詳しく描かれているので、すんなり物語に入れた。泡坂さん、はじめて読んだけれど良いですねぇ。他の作品も読みたい。2017/12/29
真理そら
12
『優曇華の銭』が好きだ。銭にまつわる知識を学べてお得感がある上に、仇討ちのために他の運(高価な古銭)に目を向けないという潔さも好きだ。深刻すぎない捕物話が多いので寝る前に一編ずつ読んでほっこりしている。2018/01/08
しんこい
5
紋が絡む話が多いのは、作者の本職もあるでしょうが、江戸時代という背景あればこそか。表題作の兄妹のふるまいとか、時代環境あっての設定も見事。語り手が毎回変わるのは、私には合わなかった。2016/06/26
ケイスケ
4
紋に関する話が多くてニヤッとさせられた。好調。お景の将来を見てみたい。2016/07/01