出版社内容情報
蛙一匹百両の絵が消えた……。瞬く間に値の上がる吉祥画ばかりを狙う怪盗自来也小町。迎えうつは宝引の辰親分。奇想天外!七篇の競演
内容説明
蛙一匹百両の絵が消えた…。またたく間に値のつりあがる吉祥画ばかりを狙う怪盗自来也小町。迎えうつは宝引の辰親分。絵画ブームがあり、グルメ熱あり、今でいうホストクラブの野郎茶屋に入れあげる熟女あり。現代のことは江戸に訊け。今は昔とうりふたつ。トリックと江戸情緒が満載。逸品七篇の競演です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
10
「自来也小町」は思いがけないところに犯人のヒントがあるのが楽しい。このシリーズには人情と粋を教えられている気がする。きっと作者は粋な職人さんなのだろうなあ…2018/01/16
Tetchy
8
気付いたのは簡素な文体に宝引の辰の優しさが見え隠れすること。また江戸町人の日々を生きる逞しさが存分に描かれている事。やはり泡坂妻夫は粋な作家だ。2009/05/07
mtk
4
文庫版じゃないですが、一応こちらで感想メモ。 自来也モノの一環として読んだのですが、副題にもある通り主役は自来也ではなくて、『宝引の辰』という岡っ引(警察官的な役職)が江戸に起こる様々な事件を解決していく短編集。 …こうやって書くと、ミステリーかな?って思うけど、推理物にあるトリックとかはないので、やっぱりチャンバラ要素が無い時代劇かなぁと。 主題の『自来也小町』は、ちゃんと自来也の元の要素の解説もちゃんと会話文で含ませていて、物語という観点以外でも楽しめました。 …もっと長編でじっくり読みたかったなぁ。2017/04/05
朱音
3
どこから読んでも楽しめる本なんだけど、今回の中の「夜光亭の一夜」という一編には、「夜光亭浮城」という女性の手妻師が出てくるんだけど、泡坂ファンならあれ?と思うこの名前。この女性、後に曾我佳一郎という人の妻となるという…そう、その名前から想像するのは作者のシリーズ物のヒロインのご先祖にあたるのでは?とか考えたりして。こんなところにもお遊びが隠されているのは作者がやはりマジシャンであることと無関係ではないと思う。2003/01/07
一柳すず子
2
表題作の、自来也小町ちゃんが実際に賊を見て憑き物が落ちたみたいになったのが印象深かった。2015/02/02