文春文庫
非運の果て

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  • サイズ 文庫判/ページ数 275p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167371036
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

人が命がけで守るべきものは何か。救いのない武家の掟の厳しさを描いて、人間の強靭さと暗いカタルシスを伝える珠玉の短篇集。

内容説明

嫁ぎ先で命を落とした姉の最期の有様を追う妹を描く「その心を知らず」、殿様のお手がついたと噂された武家の娘の決意「青葉雨」、仇討ちのため江戸を離れ彷徨う主従の苦難と結末「非運の果て」。武家社会の掟に縛られる人間の無残と峻烈、哀感の中に、規矩ある生き方の厳粛を描いて読者を魅了する全六編。武士道の闇を描く傑作短編集。

著者等紹介

滝口康彦[タキグチヤスヒコ]
1924年長崎県佐世保生まれ。57年「高柳父子」でデビュー。58年「異聞浪人記」が「サンデー毎日」大衆文芸賞に入選、映画「切腹」(小林正樹監督・仲代達矢主演)、2011年公開映画「一命」(三池崇史監督・市川海老蔵主演)の原作となる。59年「綾尾内記覚書」でオール讀物新人賞受賞。終生佐賀に住み、武家社会の掟の残酷と哀切を描き切る名作を数多く残した。2004年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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さっと

6
数年前に海老蔵主演で「異聞浪人記」が映画化されたとき講談社文庫から作品集が出たのち、文春文庫でも同じような傑作選が編まれて刊行された(偏見)。滝口が描く武家社会・封建制度にがんじがらめの中で懸命に生きる人々の姿は、ときに不憫でときに滑稽で、さまざまな悲喜劇を語らせる。やり場のない怒りや留めようのないモヤモヤの読後感はまるで山風のようだ。さて、個々の作品の強烈さでいうと講談社文庫『一命』の収録作に軍配をあげたいが、本書収録の「青葉雨」のような爽やかなものもあると知れるのだからこういう機会もバカにできない。2020/09/21

nar_yoshi

3
六つの短編集。悲劇が多い滝口作品の中で、救いがある「青葉雨」は一番好み。2015/08/06

tsubaki

1
「一命」に続き2冊目。今回も骨太で、武家の誇り高さに背筋が伸びるようだった。女性が主人公の話が多く、どれもか大きな愛情と強さをジンジン感じる傑作。 そして仇討ちの話が二話。仇討ちは、敵を討つまでは家督相続も許されない厳しいものだった。親が打たれた場合、仇討ちをする息子は仇の顔なんて覚えているはずもなく、名前と簡単な背格好を頼りに何年もかけて探し回る…その厳しさや仇討ちをする事になってしまった不幸にやるせない気持ちになった。この方の作品は小説というより歴史書を読んだ気持ちになる。2018/10/03

ちび

1
やはり面白いと思う。武士の時代の話し方には慣れない分背景を理解するのに時間がかかってしまうけれど、とても面白かった。他の作品も是非読みたい。2012/03/26

nkwada

0
時代小説の短編集なのだが、すごくいい。敵討ちに出た者たちが、数十年と諸国を放浪する話とか、ああそうなんだと思ったし、女性を主人公にしたお話も趣があって読み応えがあった。作者の滝口康彦は2007年に亡くなっており、もっと早くに出会いたかったが、そこそこ作品は残っているようなので、おいおい手にできればいいなあ。2021/12/24

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