内容説明
横浜では、南京人による犯罪が激増。応援として乗り込んだ与力立花源吾が行方知れずになった。そして、ある朝、源吾の首が奉行所の門前にさらされる。下手人と目されたのは、窃盗団頭領の張竹芳。剣友の仇を討つため、卯之助と正五郎は上海へと向かった。著者円熟の筆による事件帖はスケールアップして完結へ。
著者等紹介
白石一郎[シライシイチロウ]
昭和6(1931)年、釜山に生れる。早稲田大学卒業。62年、「海狼伝」で第97回直木賞を受賞。平成4年、「戦鬼たちの海」で第5回柴田錬三郎賞を受賞。11年、「怒涛のごとく」で第33回吉川英治文学賞を受賞。16年9月20日、逝去(享年72)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TheWho
13
幕末の横浜で、沖仲仕の差配をやってる元江戸南町奉行所同心を主人公にした「横浜異人街事件帖」の続編で、海を題材にした歴史小説家の絶筆本。今回は旧友を惨殺された主人公らが、奉行の命で下手人の支那窃盗団首領を上海に追い仇を討つ中編を皮切りに、アラビアの女占い師の霊感商法、幕府軍脱走兵の逸話の表題、そして鳥羽伏見の敗退から江戸無血開城と横浜の顛末で江戸時代の終焉と主人公らの今後を踏まえた幕引きであった。本作刊行9ヶ月後に逝去した著者の幕引きと相まった心に残る作品です。2015/12/10
hisaruki
1
幕末から明治初期にかけての横浜という舞台が持つ独特の雰囲気を舞台にした傑作。三作目が無かったのが残念。
けいちか
1
白石一郎最後の文庫本。新しい白石一郎作品に出会えないのは哀しいこと。「横浜異人街事件帖」の続編で、著者最後の文庫となった作品。いくら、お奉行の命令とはいえ、上海まで出かけて行ったり、行動的と言えばそれまでだが、卯之助は破天荒である。時代も動いているが、彼の人生も動いている。最後はこれからの希望が見えるような終わり方になっている。2010/10/30
まる
1
一気に読んでしまった…。上海に行く前と行った後の髷の絵が見たかった。2010/04/24
ゴボテン
1
一度読んだ本でした。白石一郎は読みやすい。2009/09/22