内容説明
オランダの東洋探検船団の一隻リーフデ号に乗り込んだウイリアム・アダムスは、1600年4月19日、豊後水道の臼杵に漂着した。足掛け3年の過酷な航海の果て、同船の乗組員110人は24人の生存者を数えるのみであった。航海長アダムスは天下統一をめざす家康に目をかけられ、艦載の大砲を関ヶ原へと運ぶ。海洋歴史小説の金字塔。
著者等紹介
白石一郎[シライシイチロウ]
昭和6(1931)年、釜山に生れる。早稲田大学卒業。62年、「海狼伝」で第97回直木賞を受賞。平成4年、「戦鬼たちの海」で第5回柴田錬三郎賞を受賞。11年、「怒涛のごとく」で第33回吉川英治文学賞を受賞。16年9月20日、逝去
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感想・レビュー
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糜竺(びじく)
37
私の好きな直木賞作家の白石一郎氏の作品という事でやっぱり読みやすく面白いです。イギリス生まれのウィリアム・アダムスはオランダに渡り五隻からなる東洋探検船団に航海長として乗り込みます。まず、日本までにたどり着く過程ですが、正直いってたくさんの死者を出し、とてつもない旅であったことを、白石氏が克明に描き出しています。そして、日本に到着後、様々な人に出会い、特に徳川家康にも高く買われて重用されます。たどり着いたのが関ヶ原の戦いの半年前という事で、それに主人公達も関わったようです。下巻も楽しみです。2017/12/25
BlueBerry
27
苦難の航海の様子だった。淡々と書かれていて読みやすかった。感動とかワクワクは少なめでその点は物足りなかった。2013/08/24
りょ
8
三浦按針の生涯を書いた本作。上巻はイギリス人でオランダの船に乗り日本にたどり着いたウィリアム・アダムスが西洋帆船を建造するまでの話。オランダを出て、日本に漂着するまでの過酷な船旅が読みごたえあり一気に読んでしまいました。インド経由ではなく、太平洋周りを選ぶしかなく、多数の死者と年月をかけて日本に「漂着」したアダムスたち。三浦按針って何となく名前しか知らなかったので、こんな苦労をして日本にたどり着いたのかと勉強になりました。日本名になった経緯、一緒に漂着した仲間たちはどうなるのか下巻が気になります。2018/04/28
ナオデラ
6
イギリス人のウイリアムアダムスがオランダ(両国ともプロテスタントでイスパニア、ポルトガルに比べると航海後進国)の東方貿易路確保の為にアジアを目指す。序盤のマゼラン海峡踏破や太平洋上の暴風雨描写など臨場感溢れる航海シーンは秀逸。乗組員は生死の境を彷徨いながらも日本に辿り着く。アダムスの強靭な意志力によって周りの日本人達も感化され協力も惜しまない。むしろカトリックのヨーロッパ人達が暗躍する姿は宗教問題の根深さが如実に表れてて生生しい。2014/04/19
水の都
5
航海小説がまことに好きだ!っと言う人は白石作品イチ押し。快調に下巻へ。2021/03/13