文春文庫<br> 海峡の使者

文春文庫
海峡の使者

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  • サイズ 文庫判/ページ数 247p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784167370107
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

派手好みの対馬藩の殿様は演能の席に、わざわざ朝鮮から氷塊を取り寄せる。御船方にとって重大な仕事であるが命がけの航海となる

内容説明

派手好みの対馬藩の殿様は真夏の演能の催しに合わせて「氷進上」の行事をおこなうため、わざわざ朝鮮から氷塊を取り寄せる。その役目の御船方にとっては、氷の解けぬ間に海峡を渡らなければならず、命がけの航海となる。直木賞受賞第1作の表題作をはじめ、著者得意の海を舞台にした力作時代小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

糜竺(びじく)

28
さすが直木賞作家の白石一郎氏だけあって、文体にとてもセンスが光ります。主に海を舞台にした、歴史時代短編小説が7編書かれています。どれも興味深く読めましたが、全体的にどの作品にも共通するのが、最後の終わり方が、リアルというか、ブラックというか、例えるなら、漫画の「笑うセールスマン」みたいな(笑)後味でした(あくまでなんとなくです)。短編の一つの「さいごの一人」は、戦国武将の高橋紹運が登場し、763名の城兵だけで、5万の島津勢と戦う話ですが、それを一人の足軽のクールな視点で描かれているのは興味深かったです。2014/02/19

Porco

14
戦国時代から西南戦争までの時代を舞台にした短編7編を収録。どれも余韻が残る作品でよい。ストーリーが作り込まれている作品もいいですが、こういう内面の動きを繊細に描いた歴史物もいいですね。2019/09/26

TheWho

8
海を題材にした歴史小説家の著者が描く、歴史短編物語。享保3年(1718年)密貿易の唐船を焼き打ちした福岡藩士が、漂流後対馬藩下で奴隷の身となりながら自藩の思惑で抹殺される悲劇、左前の商人が、長崎で貿易品の商いで運を掴む話、西南戦争時の脱走兵の顛末、戦国時薩摩の島津氏と旧家肝付氏との争いの顛末、戦国争乱の筑前国で雇われ足軽の悲哀、遭難船を海の恵みとして略奪する志摩の村の顛末、そして表題の対馬藩主の不条理に翻弄される藩士の苦悩など7つの物語。共に時代と権力に翻弄される庶民の悲哀を描写した一冊です。2015/09/01

てぃと

4
短編7作。どの作品も安易なハッピーエンドには終わらずに、登場人物たちの内面を浮き出させる切口でストーリーに入り込ませる文章力は、さすが白石一郎と言ったところでしょうか。個人的には「遠い火」「溟い海」「さいごの一人」が特にお気に入り。何れにせよ白石作品に今のところハズレ無しです。2023/11/15

19720624

3
海にまつわる歴史短編集。どの主人公もなんだか切ない結末を迎えてしまう。表題作の主人公が閑職に落とされても却って気楽に釣りを楽しんでいる様子が印象的。結局いつの時代も気の持ちようで乗り切るのが大切みたい。2024/03/27

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