出版社内容情報
独特の美意識"粋"を育んだ花柳界百年の変遷を手掛りに、かつて人々の暮しの中にあった教養、所作、美意識などの日本文化の終焉を辿る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
波 環
3
だいぶ前から持ってた本。幸田文の主に『流れる』を軸に『粋』について考察していく。『流れる』の概説書のようなもので、私自身それはとても好きな作品だが、この本とどちらを先にどういう経緯で読んだかもう忘れた。昭和と平成の隙間くらいの時期にかかれたが、あれから四半世紀。著書が悲しんだ消え去りつつある世界は、確かにきれいさっぱりなくなった。五千円の衣装で客の前に出る若いキャバ嬢に、寝床から音も立てずに起き上がる老妓の姿など想像もつかないだろうし何のつながりもない現代なのだ。2016/09/18
sasha
1
玄人と素人の境がなくなり、着物がすたれて「粋」も喪われた。なるほどな。2010/03/25
松
0
明治大正昭和の遊郭と花柳界の本。お鯉、萬龍、ぽんた、おつま。芸者と遊女の違いをこの本で知った。幸田文の流れる、近藤富枝の今は幻吉原のものがたり等を引いて山本の語りは進む。これらの本を読むと、有名人が行き来し華やかな文化が生まれた世界に目が向き、それ自体を肯定した自分がいた。しかしその裏で、そこに働く女性達の悲惨な境遇があったことを想像しないといけない。2023/03/22