出版社内容情報
東京・ブダペスト、純子とアーギ。人生の岐路に立つ二人の女性は、どんな選択をするのか。しあわせへの願いに揺れる女性の生と性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
86
『螢川・泥の河』で感動と深い余韻をくれた宮本輝だが、JJで連載された作品があると聞き、想像がつかず読んでみた。時代はバブル景気目前、幼馴染の恋人に後ろ髪引かれつつ将来有望な別男性のプロポーズを受ける…なんて、余りに私とは違いすぎて、と思いきや、共感の渦に巻き込まれる。漠然とした迷い、断続的な葛藤…決断までの時間はいつだって限られている。食べずにいても、葡萄の瑞々しさが失われてしまうように。ブダペストのアーギの章と交互に語られるのも秀逸。仮面の下の「卑しさ」は、酒浸りの父への愛のような、大切なものに思える。2021/09/06
ケイ
78
ハンガリーと東京に住む21歳の女子大生は、ともにその日にかかってくる電話に応えて人生における重大な決心をしなければならない。二人の話は全く交差しないので、人生の岐路を電話で告げることのみが共通点。そして結論は全く反対のものとなる。ハンガリーの話がはるかに興味が持て、地下鉄の二人の話を更に読みたいと思う。それにひきかえ、東京の話がつまらないのは主人公の純子の魅了が全く見えてこないからだ。そもそも外交官夫人と言う言葉が陳腐。輝氏の描く女性は、あまりに男性任せで魅力に欠けることがある2014/08/27
背番号10@せばてん。
28
1995年1月28日読了。あらすじはもちろん、忘却の彼方。(2020年12月17日入力)1995/01/28
カ
25
日本で生まれ育った自由な女と、ハンガリー生まれの自由に憧れる女の淡い決断。二人とも文化も違って世界も違うただし同じ人間であり、欲望もある。その後の未来はわからないが未来の二人の決断の差は全く違う心の能力にある。最後にワインを飲んで泥酔する、ここでもう、ハンガリー人との差が出たな。2014/08/20
Cinejazz
21
1985年10月17日。外交官夫人を約束された男との婚約を迫られる東京の女子大生(沢木純子)、 アメリカの大富豪未亡人に養子縁組を切望されるハンガリ-・ブダペストの女子大生(ホルヴァ-ト・アギ)、この人生の岐路に立つ二人が、この日の残された決断の時間内にどんな選択をするのか。…交錯することない二人にとって幸福とは?生きるとは?… 家の軋轢、友人らとの交流をとおして織り成される青春群像劇。〝 アーギ-は、×××の言葉を思い出していた ― 俺は祖国を捨てることことに感傷的だよ。いろんな難問を↓ 2024/11/09
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