出版社内容情報
幼い日、母に捨てられた兄と妹。愛を求めてさまよう二人の青春、そして青春との訣別をえがく物語は、人生の意味を深く問いかける
内容説明
幼き日、母に捨てられ、寄る辺なき人生の途上に立ち尽す兄と妹。時代の光と闇の中に、愛を求めて彷徨う青春の心の旅路を描く最新長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chikara
74
茶色に変わってしまった作品の再読。海岸列車・トンネル・海をそれぞれ象徴的に捉えた戸倉の考えには唸る。印象的な言葉。『私利私欲を憎め。私利私欲のための権力と、それを為そうとする者たちと闘え。』鎧駅に行って海を見てみたい。愛に飢えた兄と妹の幸を祈らずにはいられない。さて下巻へ。2016/02/18
じいじ
46
読み進めていくと、どんどん物語の中に引き込まれていく。宮本輝の上手さと宮本小説の魅力である。主人公は、母親に捨てられた兄妹、夏彦29歳とかおり25歳。健気で頑張り屋のかおり、自立心なしに年上女のヒモに甘んじる夏彦。二人は、これからどう生きていくのか・・・に興味を抱きながら、下巻に向かう。2015/03/07
背番号10@せばてん。
29
1992年11月9日読了。おじさんだって、たまにはこういう本を。(2022年12月15日入力)1992/11/09
佐島楓
24
人物設定が不思議な小説。妹のかおりは、不倫の過去を持ちながらも再び妻子ある男性・戸倉に惹かれてゆく。兄の夏彦は、年上の女性の愛人になりつつ、香港で危険な目に遭い、自分を変えてゆく。下巻へ。2012/11/26
太田青磁
22
俺は自分に何の才能も才覚もないくせに、なんだか世の中に腹が立って仕方がなくなるときがあるんだ・私みたいな持病持ちは、いつでも、どこでも死ぬ覚悟をしとかないと、安心して生きられないわ・どうか五月に、中国へ来てください。万難を排して、私のできる範囲のお手伝いをいたします・決意したんです。願望じゃなく、決意・俺は、さっき、あそこで死んだんだなァ・愛情というものは、育つにしても壊れるにしても時間がある役割を果たすけど、感情は時間とは無関係だ・私利私欲を憎め。私利私欲のための権力と、それを成そうとする者たちと闘え2014/04/11