文春文庫<br> 橋

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文春文庫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 285p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167347048
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

北国で、それぞれに屈託を持つ母親に育てられた雅美とちひろ。無意識のうちに家族への憎悪を身に宿した彼女らの陰惨な獣の如き人生。

何故、どこで、どう間違ってしまったのか

北国で、それぞれに屈託を持つ母親に育てられた雅美とちひろ。無意識のうちに家族への憎悪を身に宿した彼女らの陰惨な獣の如き人生。

内容説明

北国で二組の男女が所帯を持った。水商売の正子は年若い雄・義男に未来を託し、信用金庫勤めの直子は自分と同じ高卒の孝輔に将来を賭ける。高度経済成長の時代、勤勉な彼らの商売は軌道に乗った。が、娘たち、雅美とちひろは、昭和の終焉と低迷の平成を、空虚な心を抱えて育っていく。人間と時代を容赦なく描ききった傑作長編。

著者等紹介

橋本治[ハシモトオサム]
1948年、東京生まれ。東京大学文学部国文科卒業。77年、「桃尻娘」が小説現代新人賞佳作となり小説家デビュー。以降、小説、評論、古典の現代語訳、エッセイ、戯曲など多岐にわたる分野で旺盛な執筆活動を展開する。2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で第1回小林秀雄賞、05年『蝶のゆくえ』で第18回柴田錬三郎賞、08年『双調 平家物語』で第62回毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃむほ

16
昭和の終わりや平成の始まり、バブル期のことが書かれていてあまりピンときませんでした。幼いころから寂しい思いの積み重ねでどこか間違えてしまったのかな。忙しいことを理由に娘にあまり構わない親たち。んー、よくわからない話でした。幼いときに娘が少し不憫でした。2013/12/30

ヨーイチ

15
橋本治の小説はゴミ屋敷を扱った「巡礼」に続いて二冊目。難しい言葉は少なく、文章は平易で読みやすい。しかし内容は決して取り組み易いとは言い難い。「巡礼」でも感じていたのだが、橋本の小説に漂う「冷静さ」は恐ろしいほどに独創的だ。団塊ジュニア世代に属する少女の成長過程が描かれているのだか、作者の感情が殆ど反映されていないのは、無気味ですらある。「こんな小説があっていいのか?」とさえ思えた。好悪と善悪が殆ど出てこない文学ってちょっと想像がつかない。続く2013/11/06

つきみ

14
記憶に残る衝撃的な二つの実在した事件を描いた小説。ノンフィクションのように思える文体で、脳内が少し混乱する。作者は二つの事件を起こした女性たちが育った環境や時代を掘り下げようと、その母たちの育った環境まで遡る。夫を殺害してバラバラにした、大川ちひろの思春期以降がすっとばされた感あり、腑に落ちない部分もあるが、全体としては面白かった。こういう小説は嫌いじゃない。2013/08/11

今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン

9
既読感って再読だから当たり前ですが、姫野カオルコの「彼女は頭が悪いから」が思い出された。自分では選べない生まれ育ちによる理不尽さ、それも女子がひっかぶらないといけないもの、という図式。2019/05/28

くろすけ

9
実際に世間の耳目を集めた殺人犯となるに至った二人の娘たちを描いた作品。娘たちに共通するのは、幼い頃からの砂を噛むような「疎外感」。高度成長に躍る日本社会の片隅で、上手に空気に乗れず不器用に怒りを溜め込み育った娘たち。好景気に舞い上がった親たちが悪いのか。作者は繰り返す。母親たちはそれぞれ自分の娘を愛していたと。誰のせいでもない、戦争が普通の人々の人間性を奪うように、バブルに向かってひた走ったあの時代にこういう形で失われたものもあったのだと、橋本治は誰を責めるではなく冷静に振り返り描いてみせてくれた。2013/09/21

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