内容説明
「もう一度逢ひたいがそれも叶はぬ望みだ」―太平洋戦争で戦死した前線の兵士が愛する者に残した遺書・書簡の数々。真珠湾に散った二十歳の航空兵の悲壮な決意。母の亡い五歳の一人娘への哀切な遺書。冤罪にも従容として死についた老将。彼らが命と引きかえにして、この国の「今」に伝えたかったものは。
目次
第1章 前線と銃後と(布哇上空快晴であつて呉れ―後藤元(海軍飛行兵曹長・20歳)
無一物カラ築イタ汗ノ結晶ダ―麻田武夫(陸軍兵長・36歳) ほか)
第2章 惜別と望郷と(さやうならさやうならさやうなら―鹿島忠治(陸軍曹長・27歳)
兄は大元気で征つて来る―片寄佐助(海軍二等飛行兵曹・21歳) ほか)
第3章 覚悟と死と(最重要ナル航空隊第一飛行隊長ニ奉ジ―垂井明(海軍中佐・30歳)
良く死んだと褒めて下さる事と信じます―土屋亮(陸軍上等兵・23歳) ほか)
第4章 戦と愛と(第二の夫を求めてたのしく暮せ―藤代勇三郎(陸軍伍長・32歳)
実子の如く可愛がつて慈愛の中に育つた―藤田明晴(陸軍伍長・22歳) ほか)
著者等紹介
辺見じゅん[ヘンミジュン]
富山県に生まれる。早稲田大学文学部卒業。編集者を経て現在、作家・歌人として活躍中。主な著書に、『呪われたシルク・ロード』『男たちの大和』(第3回新田次郎文学賞受賞)『闇の祝祭(歌集)』(第12回現代短歌女流賞受賞)『収容所から来た遺書』(第21回大宅壮一ノンフィクション賞・第11回講談社ノンフィクション賞受賞)『大下弘、虹の生涯』『レクイエム・太平洋戦争』『夢、未だ尽きず』(ミズノ・スポーツライター賞受賞)などがある
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